@ TRI・ロータ
以下は帝京大学・落合正彦先生に執筆(2000年12月)していただきました。
齋藤先生の有名な論文からも明らかなように、TRIでも7ないし8Frのガイドカテが使用できます (Saito S, Ikei H, Hosokawa G et al. Cathet Cardiovasc Intervent 1999; 46: 173-178. )。ちなみに、私のカテラボにあるメドトロニック7Fr Zuma 2 では2.00 mm、ボストン8Fr Cyber では2.15mmまでのburrが使用できます。こうした大きいガイドカテーテルが入る患者さんでは、カテ操作が異なるだけで、本質的にはTFI ロータとそんなに変わりません。TRIといって通常皆さんが思い浮かべるのは6Frガイドカテによるインターベンションでしょうから、本稿では、“6Fr TRIロータ”について書くことにします(なお、ライヴで、齋藤先生の“5Fr TRIロータ”を拝見したことがありますが、とても凡人に真似できるものではないので、私には経験がありません)。
ガイドカテ:0.070 inch の内腔を持つZuma 2が必須です。1.75 mm までのburrが使えます。0.064 inch のカテでも1.5 mmまでなら使えますが、burrを入れた状態では全く造影できず、カテ先圧もモニターできないので、よほどの技量をお持ちの方以外には、お勧めしかねます。
適応:小口径のburrを用いたlesion modificationを目的として行います。ステント再狭窄やロータ alone で終わりたい症例のように、大口径のburr が望ましい場合は、TRIにこだわることなく、大腿動脈から、8ないし9Frを使用します。また、TRIロータでは、小口径のburrしか使わない(使えない)ので、Yコネに、ガイダントのCo-pilotなどのバネ付止血弁を使用すれば、殆ど手技中の出血もありません。
ペーシング:右冠動脈でも左回旋枝でも、原則的に入れません。ロータ施行直前に、心拍数を上げるため、硫酸アトロピン1Aを静注し、生食100mlにネオフィリン100mgを加えたものを全開で落とします。これは昔、札幌南徳州会病院の藤田先生に教えていただいた方法です。また、予期せぬ徐脈に対応するため、ソ径は消毒してテラダームを貼り、大腿静脈をいつでも穿刺できるようにしておきます。手技中は心拍数に注意し、私は少なくとも80/分以上を維持できるようにしています。必要なら硫酸アトロピンを繰り返し静注しますし、ノルアドレナリン1Aを生食20mlに溶かしたもの(「20倍希釈ノルアド」と呼んでいます)を1mlずつ用いるのも昇圧を兼ねて有効な方法です。
ワイヤ:一般的にはTransitやExcelsioと通常のワイヤでクロスし、その後ロータワイヤに変更します。固い病変でミラクルなどが必要で、TransitやExcelsioが通らなければ1.5mmのOTWバルーンを出します。これでも通らなければ、OTWバルーンを病変に押し付けた状態で0.014 inchのワイヤを一旦抜去し、ロータワイヤでリクロスを試みます。0.014 inchの「穴」は空いているわけですから、0.009 inchのワイヤはそんなに困難を伴わずに通過します。
Burrの持ち込み:ダイナグライドでカテーテル内を進めます。冠動脈内でどうするかは術者の好み次第でしょう(私は病変がなければ、冠動脈内もダイナグライドです。その方が簡単です。)。
ロータ中、造影できるか?:case by case です。7Frと遜色なく造影できることもあれば、抵抗が強く、ちょろっとしか入らないこともあります。カテのちょっとしたキンクに影響されるのでしょう。機械打ち(Assistなど)では造影性は向上します。なお、カテ先圧ですが、なまりますが、平均圧は充分にモニターできます。コツといえるかどうかわかりませんが、造影性はやはりあまりよろしくないので、術中のslow flowを絶対に避けなくてはなりません。slow flowかどうかを正確に把握したければ、いちいちburrを抜かなくてはなりません。1回のablationは最長10秒とし、手技時間短縮も兼ね、最近は体外で200,000から220,000 rpmの高速回転を好んでいます。ロータ後は、TransitやExcelsioを使うより、もう「穴」はあいているわけですから、通常のワイヤでリクロスしてしまうほうが簡単です。
ロータ後:この後direct stentingに行くか、バルーンをかけるかはもちろん症例によります。
A ガイドカテーテルとBurrサイズ
以下は湘南鎌倉総合病院・齋藤滋先生からの情報提供です。