6Fr.でのKissing Balloon Technique(KBT)では、使用できるバルーンについていろいろな情報が交錯しています。そこで、TRA-netでは各社から提供を受けた数種類のバルーンについて、6Fr.KBTに使用できるかどうかを確認するため、ブタを使用したテストをしました。 2002年1月13日、宮崎において約20名の医師の参加にて公開で施行。 システムはブタのFemoralから6Fr. Mach1(マックワン:ボストン社製、内腔070インチ、)を左冠動脈にカニュレーションさせた後、フロッピー系のワイヤーを2本通す。 同じ会社のバルーンを2本(3.5mmX20mmと3.0mmX20mm)用意し、 テスト1,まずそのまま(新品のまま)2本並べてYコネから挿入してゆき、冠動脈内に出せるかどうかをテストする。 テスト2,次に2本とも体外に出し、両方とも造影剤で8atm拡張させたあと、手でリラッピングさせて(かしめて)再びYコネから2本並べて同時に挿入して行き、冠動脈内に出せるかどうかをテストする。 以上の2項目について、可能かどうか?、抵抗感があるかどうか?の公開実験を行いました。 |
今回の実験では、人体にて実際にKBTを行うときのMAXバルーン径として、3.5mmと3.0mmを選択しました。これなら、LMT以外はどこでもKBTの使用バルーンの径としては十分であると考えます。 まず日本製のバルーンから初めましたが、どのバルーンも抵抗はあるものの、ガイドカテにゆっくり挿入してゆけばシャフトが折れたりすることなく進んでゆき、冠動脈内に出すことができました。 同じく、外資系のバルーンもわずかな抵抗はあるものの、問題なく冠動脈内に出すことができました。 結局予定していた6種類全てのバルーンが”KBT可能”となってしまったため、”全部使用可能という結果じゃ、何かウソっぽいよね。ズルしたと思われたらいやだから、何か通過しないバルーンを出してちょうだい。”というリクエストをしたところ、6Fr.ではKBT不可能とボストン社が”太鼓判”を押していたマーベリックを7種類目として出してくれました。 しかし、他のバルーンと同じように抵抗感はそこそこあるものの、冠動脈内まで2本とも同時に持って行くことができました。この結果には当のボストン社もビックリ・・・・・ 考察するに、今まで6Fr.でKBTが可能かどうかは、一番大きい内腔(070インチ)を持っていたズーマ2(日本メドトロニック)を使用して語られていました。今回使用したMach1(ボストン)は同じく内腔は070インチですが、インナーコーティングにPTFEを使用しています。ズーマ2はシリコンコーティングなのでデコボコしている?と聞きました。この差がここ一番のKBTの時に”内腔のすべりの差”として出た可能性があります。従来、抵抗感が強くて6Fr. KBTは不可とされていたマーベリックがKBT可能であったのも、ガイドカテの内腔のすべりの違いからかもしれません。 以上、公開実験では使用した7種類のバルーンはすべて6Fr.KBT可能という結果でした。 |