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○○です。 第48集関連画像を参照してください。

いつも皆さんお世話になります。
ちょっと急ぎのご相談です。
ただし、うちのシネは未だanalogのみですのですぐにdigital画像に変換することが
出来ず、つたない手書きの絵で失礼致します。

68歳 男性 risk factor: HT, HL, smoking (全てno medication)
9/9 朝、30minの胸痛あり、前医でH-FABP:positiveであったためACS susp.で当院に
紹介となりました。ECGは以前のものと比べて変化無く、約1年前から夜間に胸痛を自
覚しておられました。当院来院時(症状出現より6時間後)、9/10朝の採血でも
CK-MB, Myoglobinは上昇認めず、本日9/10 angioを行いました。すると添付の図の通
りLMT〜LADにかけてLCxの対側にplaqueがあり、LMTは50%程度ですが、ruptured
plaqueがあります。LADはtake offから90%。LCxはtake offにも狭窄を認めず、4mmは
確保されています。LMTは5mm位はあると思います。病変にはangio上わずかに石灰化
を認めます。LCAにはその他には病変ありません。RCAはintactでseptal br.を介して
collate +です。LVG: normal。

私はPCIがよいのではないかと考えたのですが、なにぶんにもUnprotected LMTですの
で近所のDCAをする先生に相談したら、CABGを勧められました。
IVUSで確認しないと確定的なことはいえませんが、angio上はどうもLCxの対側に
plaqueがありそうですし、LCxの入口部にはplaqueはなく、そうだとすればLCxへの
shiftの可能性も低いのではないかと思います。reference diameterも十分あり、幸
いにもLADはそこそこpre conがかかってそうですし、LADさえステントで確保してし
まえばPCIでも比較的安全に出来るのではないかと思いました。甘いでしょうか?

CABGするにしてもruptured plaqueがあるLMTは捨て置くわけには行かないと思います
ので
@MIDCAB(LITA→LAD)+PCI(LMT→LCx)
AOPCAB(LITA→LCx、RITA→LAD)+PCI(LMT→LAD)
等のhibridが必要かな?と思います。

主治医の私の感情としてはPCIですめばそれに越したことはないと思います。
LMT→LADにステント入れてしまえばPCIで何とかなるのでは?と思ってしまいました
のでCABGをお勧めするのはやや、心苦しく感じています。それとも近所の先生の仰ら
れるとおりCABGが安全でよいのでしょうか?
○○県には皆様のようにDCAの経験が豊富でUnprotected LMTにDCAをかけようという
方を見つけるのは非常に困難であるという状況を踏まえてお考えをお聞かせ下されば
幸いです。
ただし、PCIするなら○○に考えてますので勝手なお願いなのですが、少し急ぎでご
相談させていただきます。
皆さんご教授ください。

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○○です。

>reference diameterも十分あり、幸いにもLADはそこそこpre conがかかってそうで
すし、LADさえステントで確保してしまえばPCIでも比較的安全に出来るのではないか
と思いました。甘いでしょうか?

甘くないと思います。まったく同じように考えます。ここしか病変ないなら、私はも
ちろんPCIです。

自分なりのnon-protected LMTのポイントは、前にも書いたように、1)LMT-LADを
しっかりステントで確保する自信があるか、2)最悪その状態でLCxの入口部に
plaque shiftが来てflowがおちた時、おちついてストラットの間隙を拾いにいく余裕
がありそうか、の2点です。本症例は、1)は大丈夫そうですし、RCAはそこそこ大き
く、IABP入れておけば2)もOKでしょう。それに、幸いLCxの入口には何もしないで
よさそうですよね。angioで何にもなくても、LMT-LADにバルーンかければ、少し、
plaque shiftは来ると思いますが、KBTのみで(LCx入口部にステント入れなくて
も)十分いけると考えます。

DCAできればそれに越したことないでしょうが、スケッチを拝見すると病変が長いの
がきになりますね。これだけ長い病変、しかもLMTをaloneで終えるのは厳しく、ステ
ントが入るのは必至ですから、DCAできそうなら、できる範囲であんまり無理せず削
りたいです。太い血管で、ある程度の圧までは、あんまり厳しく方向性考えなくて
も、全周性に削れそうですよね? ただ、angioでわずかに石灰化といっても、LMTは
意外に石灰化が強いことが少なくないので、IVUS所見によっては、バルーンかロータ
もありえるでしょう。というか、DCAがベストでしょうが、使えるバルーンとステン
トが大きいですから、無理してなれないDCAをやる必要もないでしょう。

ruptured plaqueのLMTは、もっとひどくえぐれた症例で、1例だけステント入れた経
験がありますが、何にもおきませんでした。これも、IVUS見ないとまだlipid poolが
残っているのかわかりませんが、抜けてる分だけ良いようにも思います。

結論としては、IABPサポート下で、右radialが太ければ(エコーで確認しておきま
す)radialから、細ければ足から8Fr JCL 4.0 (Jomed)入れて、何でもできる体制に
してPCIします。DCAかロータができそうなら(というか、必要なら)それをして、次
にLCxにもワイヤ入れて、LMT−LADにバルーニングした後、LMT-LADにでかいステント
を植え込み、ワイヤ交換してKBTですね。5.0mmということですから、ディーラーにBX
の4.5か5.0が院内にあることを確認しておきます(なければ必ず取り寄せ)。大腿の
穿刺部は、もちろんcloserで止めます。

CABGも、確かに確実な方法で、LITA-LAD・RA-LCx何箇所か、というoff-pump CABGも
良い選択と思います。私の印象では、バイパス後、しっかり抗血小板剤とスタチンで
も投与し、患者さんが禁煙守ってくれれば、ruptured plaqueそのものは、あせって
手をつけなくても、安定化される可能性の方が高いと思います。オペするなら、オペ
するで、それ単独で完全冠血行再建としたいと考えます。

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○○ですが、もう一度、図を拝見して、ちょっと追加させていただきます。

LCxの入口には何にもありませんが、LADとLCxの角度が浅いので、バルーンだけで
は、思ったよりplaque shift来るかもしれません。ただ、浅いということは、スト
ラットを通してのワイヤ交換やいざという時のT(Y)stentingはやりやすいわけで、
acute resultの点にかぎれば、そんなに心配要らないと思います。

もう一つ。LMTからLADのtake-offが急角度のようですが、1例、こうしたLMTにDCAし
たとき、アトランティスのNurdがひどくて、何がなんだかよくわからなかったケース
を経験しています。angioである程度方向の見当がつくケースだったのが幸いでし
た。2クール削った後、業をにやして、ウルトラクロスにしたら、別物のようによく
血管がみえました(その症例では、その後、すぐBX 5.0-18を入れました)。多分、
普段はアトランティスをお使いだと思いますが、ウルトラクロスも念のため用意され
ておいてはどうでしょうか?

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○○です。

○○先生、早速のご返事ありがとうございます。
もしかして、先生ならこの時間に起きてらっしゃってご返事頂けてるかもしれないと
思ってメールを開いてみました。

先のメールにも書かせて頂きましたが、現時点ではこのlesionにDCAしてくださる先
生が近くにいらっしゃいません。もちろん、私はそのような技量を持ち合わせており
ません。従ってDCAは非常に困難です。また、当院はRotaの施設基準を満たしておら
ず、使用不可能です。
先生から、無理せずPOBA+STENTも可。とのお言葉を頂いてほっとしているのですが、
一応、このようなstrategyはいかがなものでしょうか?(DCA/Rotaなしの前提で)

IVUS guide
IABPサポート下で
7Fr.TFI JL-4.0
LAD/LCxにwire
LMT-LADへpre dilatationの後、LCx jailでBxを置きにいってその後KBTで終了。
どうでしょうか?

LMT: 5mm, LAD/LCx: 4mmの想定でバルーン・ステントsize etc.につきご教授くださ
い。

@preのballoon size
 少しunder気味でよいのでしょうか?3.5mmとか
AStent size
 StentがLADに対しては少しoverになるのですが、LMTのsizeとどちらに合わせたら
よいのでしょうか?理想的にはこの場合、4mm Stentを入れて5mmのshort balloonで
LMTだけpost、その後にKBT、なんていうのもありでしょうか?
BKBTのballoon size
 (実はいつも悩んで解決しないまま今日を迎えているのですが、)
 今回はLCxに病変が無いのでjustではなくってもよいと思うのですが、例えば、5mm
のStentを入れてもKBTは4mm&3.5mmにした方がよいのでしょうか?それとも5mmの
Stent balloon&4mmのballoonの組み合わせなのでしょうか?個人的には前者のように
少しunderぎみのballoonの方が安心のような気がするのですが、、、
CKBTの圧
 以前先生は比較的高圧(6-10atm)をかけられるとメールに書かれていたように記憶
しているのですが、この症例ではいかがでしょうか。LCxには基本的に病変が無いと
いうことがかける圧に影響するのでしょうか?

宜しくお願い致します。

いろいろなご意見をお伺いしたいと存じますので様々なお考えを皆様より頂戴したい
と存じます。宜しくお願い致します。

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○○です。

LAD take offが90度というのはLMT-LADのplaqueがrichなためそう見えるのではない
でしょうか? 実際にはもう少し角度が甘いのではと考えます。石灰化があまりなく
て(DCAの経験を十分に積んだ術者が)optimal DCAが出来そうだったらstentを入れ
る入れないに関わらずDCAがよいと思います。しかし、石灰化が厳しくロータが必要
になりそうだとか、angio上はLCXの対側にplaqueがありそうにみえてもこの部分で
はIVUSで見ないと分からないことがしばしばあるので現実的にはelectiveであ
りOPCABを第一に勧めると思います。最悪T-stentとなるとLCX-osの再狭窄やLCX /
LAD distalに新規病変が出来た際にいろいろな制限がありますし最初の治療戦略には
したくないような気がします。患者さんが手術がいやだということであればなんでも
ありと思います。しかし、正直なところ手術成績が"bad"な施設では○○先生の「基
準」を満たせばstentingになるのかもしれません。

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○○ですが、お返事いたします。

○○先生がおっしゃるように、また、SJ Park先生の論文にもあるように、DCAをかま
した方がCSAは余計にとれるし、明らかにベターな形ですが、そこにはDCAへの慣れが
絶対的に関係してきます。super-dominantなLCxではなく、最初からLCxの入口部に
明らかなplaqueがあるわけでもないので、一応KBTでshiftへの対応は可能と考えまし
た。つまり、KBTでLCx入口部に損傷が起こって、T(Y) stentingを余儀なくされる
可能性は低いと予想し、(普段、あまりDCAをしない人が、本例に限って)無理して
までやる必要はないでしょう、と書いた次第です。

(私自身の1年くらいまえのanti-DCAの発言と大きく異なりますが)こういう病変で
そんなに緊張せずDCAするためには、最近は、普通の、どうということのないLAD7と
かでのDCAが(learning curveを維持する意味でも)必須なのだと感じています。自
分も、昨日、LAD7 75%(type A)に、TRIせず、足からDCAステントしました。MLを入
れて、やはりIVUSでみたステントの広がりはDCAステントならではのもので、CSAも9
になり、再狭窄はまずないでしょうから、それはそれで肯定してかまわないやり方だ
と思います(もちろん、普通のTRIでサクッとやるのを否定する気も、さらさらありま
せん)。

なお、
>angio上はLCXの対側にplaqueがありそうにみえてもこの部分ではIVUSで見ないと分
からないことがしばしばあるので

という、○○先生のコメントには、全く、何の異議もありません。まさしくその通り
です。いろんな意味で、本例のPCIで、IVUSは必須のツールだと考えています。

さて、○○先生から提示された各論についてですが、>7Fr.TFI JL-4.0

でかいBXはdeflation timeが長いので、大口径ガイドの方が、少しでも早くカテ内に
引ける分、有利と思います。KBTのときのストレスも違わないでしょうか? closer
を使うなら、7でも8でも同じことだし、病変の位置を考えると、すこしでもバック
アップ強い方がいいでしょうから、私なら8Fr.でします。deepもあり得ないので、
シャフトはJoガイドとか固いものです。また、ストラットにバルーンを通す際など
も、LCx方向になりますから、ストラットとワイヤの位置によっては、思わぬ力がい
るので、形状はEBUかJCLですね。さらに、DCAしない、ということなら、SH付きの方
が、よりストレス少ないかもしれません。

>@preのballoon size 少しunder気味でよいのでしょうか?3.5mmとか

LCx方向のKBTに使うサイズでやります。angioであわせます。こちらに4.0mmを使う
と、hagging balloonとなるLMTは、でかくなりすぎるかもしれないので、普通は
3.5mmかしら?圧は最低12くらいで高圧かけますが、拡張時間は数秒以内です。な
お、後でストラットを通すので、リラップに優れ、LMT-LCxの曲がりに追従できるよ
うなものにします。

>AStent size StentがLADに対しては少しoverになるのですが、LMTのsizeとどち
らに合わせたら
よいのでしょうか?理想的にはこの場合、4mm Stentを入れて5mmのshort balloonで
LMTだけpost、その後にKBT、なんていうのもありでしょうか?

私は、こういう状況だとしばしばステント2本使います(保険上も、LADとLMTの2病変
になりますから、問題ないでしょう)。スケッチを拝見すると、かなりのlong
lesionですから。それに、JJに聞いてみないとわかりませんが、4.5以上になると、
18mm止まりだったようにも記憶しています。LAD#6 distal に4.0mm、LAD#6
proximal〜LMTに4.5か5.0mmではダメでしょうか? でも先生がおっしゃるように、
4.0のロングを入れて、LMTをshort balloonで大きくというのも、とってもいい手だ
と思います。

>BKBTのballoon size 今回はLCxに病変が無いのでjustではなくってもよいと思う
のですが、例えば、5mm
のStentを入れてもKBTは4mm&3.5mmにした方がよいのでしょうか?それとも5mmの
Stent balloon&4mmのballoonの組み合わせなのでしょうか?個人的には前者のように
少しunderぎみのballoonの方が安心のような気がするのですが、、、

それこそ、サイズはIVUSで決めればよいですよね。ただ、LMTはhaggingで広げること
になるので、ステント自体、少し小さくなってもいいんじゃないかと私も思います。

実は、このサイジングには、私自身もまだ悩んでいる次第です。2週間ほど前、高度
石灰化のnon-protected LMT-LAD#6にIABPサポート下でrota-stentしました。1.5mm
でrota後、IVUSしても全周性のcalcで後方は良く見えず、LMTのM-Mがわかりません。
angioであわせて、LMT-LAD#6にBX4.5をいれ(これでangio上はjust)、LMT-LCxの
3.5と一緒に14atmでKBTしたら、haggingの分、LMTは巨大ツチノコ(CSA確か13.8)に
なり、とてもbeautifulだったのですが、じわっと造影剤の漏出があって、一瞬、あ
せりました。やはり、haggingになることを計算して、LMT-LAD#6は4.0だったか
な、とも反省しました。

結局、この症例ですが、すこし小さ目でいって、でもIVUSでCSAが今ひとつなら、躊
躇せず、もう1本大きなバルーンをあけてさらに後拡張し、月末に症状詳記しっかり
と、というのがいいのかもしれないです。

>CKBTの圧 以前先生は比較的高圧(6-10atm)をかけられるとメールに書かれていた
ように記憶
しているのですが、この症例ではいかがでしょうか。

haggingになることを考えにいれて、サイジングし、でも、haggingになることでIVUS
的にも丁度良いサイズになるなら、やっぱり12くらいはかけたいです。ただし、KBT
のまえ、初めてLCx方向にバルーニングし、ストラットを始めて開くときは、ゆっく
りと時間をかけて圧をあげます。低圧(max 6くらい)でします。急速に高圧をかけ
ると、ストラットが開くのが加圧に追いつかず、バルーンが破れる危険があります。
実際、1例ですが、他の人がバルーンを破ってしまったのを見た経験があります。側
枝が急性冠閉塞し、たいへんでした。

>LCxには基本的に病変が無いということがかける圧に影響するのでしょうか?

きちんとストラットを開き、LMT−LAD方向ではステントの変形を是正するのがKBTの
目的です。LCxに病変のないほうが、安心して高圧かけれて、気は楽です。むしろ、
中途半端な狭窄があれば、解離を生じてTステント、ということにしたくないので、
圧を控え目にするとおもいます。

最後に余計なことかもしれませんが、私はこういうnon-protected LMTをやるとき、
光藤先生が著書でおっしゃっているところの、術者のアドレナリン過剰分泌を少しで
も防ぐため、LCxはどうでもいいし(実際はそんなこと全然ありませんが)、と自分
に言い聞かせながらやっております。LCxにこだわりすぎて、LMT-LADのワイヤが万一
抜けてしまったら、元も子もありませんから。そう心の中でつぶやくだけで、アドレ
ナリン(術者のですが)は減るようです。本当に、ワイヤツイストとか、思いもよら
ぬところで起こったりしますから。

勝手なことを長々と申し上げ、失礼しました。御健闘をお祈りしています。

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○○です。

○○先生、僕は○○先生と少し違う意見です。全くもって失礼な質問ですが、先
生のPCI経験はどのぐらいありますか?
この症例などは僕もPCIって考えますし、○○先生もそうですが、じゃ、何にも
起こらないPCIかというとLMCAを拡張、LCXが大きい (4mmあるということは支配
領域もある程度以上大きい、と思われます)ですから当然IABP supportも考える
訳ですよね、と言うことは何かトラブれば最悪死ぬ状況にもなりうる訳です。今
は全く元気で、CABGというoptionもあって、PCIの選択をするならそれに見合う
成功率が当然必要になる訳です。
だから、あまり簡単に、しかもangioそのものを見てもらってもいないmailを治
療戦略決定の要素とする、ということに危惧を持ちます。

僕は○○先生の手技そのもの、CABGするとしてのsergeonの成績、患者さんの背
景や希望、も知りませんし、図を見るとunprotected LMCAのfirst caseとして難
しくはなさそうですが... やはりLMCAという状況をよく考えていただきたいと
思います。

それともう一つ、
> CABGするにしてもruptured plaqueがあるLMTは捨て置くわけには行かないと思います
> ので
> @MIDCAB(LITA→LAD)+PCI(LMT→LCx)
> AOPCAB(LITA→LCx、RITA→LAD)+PCI(LMT→LAD)
> 等のhibridが必要かな?と思います。
図を見る限りではLMCAはalready rupturedでlumen areaは保たれているようです。
内腔がある、すでにruptureしたLMCAを治療する必要が本当にあるのでしょうか???
PCIするならここまでplaqueが連続していますので当然対象ですが、LADに1本か
かればここの支配領域はLCXだけですから当面は何もしなくていいと思います。

僕はhybridは好みません、というか嫌いです。だって患者さん側からするとバイ
パスもされてまたrestenosisの可能性も含めたPCI cycleに入る訳ですよね、僕
だったらできるだけ避けたいoptionです。どーしても必要性があるとき以外は。
それもあってAなんか絶対必要ないと思います。

> 主治医の私の感情としてはPCIですめばそれに越したことはないと思います。
> LMT→LADにステント入れてしまえばPCIで何とかなるのでは?と思ってしまいました
> のでCABGをお勧めするのはやや、心苦しく感じています。それとも近所の先生の仰ら
> れるとおりCABGが安全でよいのでしょうか?
よく理解できます。しかしそれも先生の治療の成功率に依存すると思います。成
功率ともし何か起こった時のdamageを含めたrisk、ですね。先生がunprotected
LMCAが1例目ならやはり自分ひとりでなく誰かについてもらった方がいいと思い
ます。何事も最初、とか経験の少ない時っていうのは思ってもみない、後から考
えれば何てことのないことでトラブりますから。
UP-LMCAの初めての症例なら、日をずらして誰かsupportを呼ぶのも(難しいかも
しれませんが)考えてもいいかもしれません。

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○○です。

アンギオを見たわけではないので想像に過ぎませんが、(1)HT, HL, smoking (全て
no medication)(2)RCAはintactでseptal br.を介してcollate +(これはLAD
がプロテクトされている?ってことですか)(3)LADはtake offから90%。などから
○○先生の絵から受ける印象どうり動脈硬化は高度で広範囲のような気がします。最
近の論文を見ても今の日本の現状では再狭窄の分だけPCIは長期成績でまけています
ので他の術者にアドバイスするなら普通は「OPCAB」になります。
しかしPCIで処理できる範囲であり、最終的には施設の力量で決めればよいのではな
いでしょうか。信頼できるスタッフとか病棟体制などトラブルが起きたときに(必ず
起こります)いかに対応できるかなど、術者は自分の力量を高めることも大切ですが
周りを教育し訓練して行くことも必要だと思います。ちなみに、前任地の○○ならば
DCAをかますことを考えますが、現任地の○○ではPOBAで入ってKBTで済ませそうです
(スタッフがDCAをアシストしたことがないので最初の症例にしてはキツ過ぎま
す)。またIIbIIIaが使えないので、病変を安定化させたほうが安全だと思いますの
で、血圧やコレステロールをさげて抗血小板療法など時間を十分かけてから
elective‐PCIすると思います(その間にスタッフが成長すれば手技の選択肢は広が
ります)。○○先生、御健闘を祈ります。

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○○です。

> でも、やっぱり6Fで出来るというのは魅力的なんですけどね。ところでカネカか
らプロテクションバルーンが年内にも出ると言う噂もありますね それならTRIで
も躊躇わず使えるかな。

Medtronicからはプロテクションバルーンだけを別売りしてもらえないので、7Fのア
スピレーションがあまってしまいそうで困っています。

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○○です。

> Medtronicからはプロテクションバルーンだけを別売りしてもらえないので、7Fのア
> スピレーションがあまってしまいそうで困っています。
以前にも一度書いたのですが現在は確かにsetで売っておられます。ただし日本
では償還価格が別々についています。これはメドトロさんが早く日本で使用可能
にするためにもっとも適当な分類で償還を取ったためで、これ自体は非常に感謝
すべきことですが、現時点でアスピレーションカテーテルの6Fが使用可能になり、
通常のPCIは6F baseで十分行えており、メドトロさん自身 6F Zooma2を販売して
いる、現状を考えれば別々に買えて当然のようにも思います。
昨日も社長さんとも話しました。ぜひ皆さん(? 6F distal protectionの有用
性を感じている人だけでいいですが)、メドトロに別に売ってくれと言いましょ
う。

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○○です。

こういう症例検討は、いまや、tra-netの大きなウリだと思います。本音の意見が飛
び交うので、とても勉強になります。現在のtra-netの環境では、DICOMの動画を配信
するわけにはいかないので、静止画、あるいはスケッチになるのは仕方ないと思いま
す。想像が入っての意見になるのは、やむを得ないし、個々の術者の先生の技量は、
一緒に仕事をしたりする機会でもないと、わかりようもありませんから、一応、自分
が術者で、自施設でやるならこうする、ということで、これまで自分は意見をいわせ
ていただいてきました。

○○先生が言われるように、PCIのストラテジーが環境で大きく変わるのは、とてもよ
く理解できます。自施設で、いつものチームでやるのと比べ、awayでPCIすると、全
然違ってきますよね。私も、自分のところなら何らかのデバルクをかましたいと思い
ますが、よそでなら、バルーンでしょうか? 実際、他施設を訪問した時に、はじめ
てangioをみせられて、あまりにhigh riskと判断し、PCIをお断りした経験もありま
す。ですから、この症例も、CDをみれば、もしかすると、違うコメントになるかもし
れません。でも、それを言い出すときりがないし、今みたいな形で、tra-netの環境
が向上するまで、どんどん、続けていきたく思っています。

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○○です。

とーぜん、そうです。先生の言われる通り。僕もこの形のdiscussionは好きだし、
必要だし、意味のあることだと思います。でも、どうしてもface to faceに比べ
ると情報量は不足しますから、このdiscussionをどう受け止めるか、そこは最終
的には術者・またはその施設の責任者、の責任になるので慎重に考えなくてはな
りません、ということを言いたかったのです。特に今回はnon protected LMCAだっ
たので。

僕もこれまで色々な自分の意見も言いましたし、人からは「なんじゃ」って考え
の部分もあると思います。そしてdiscussionは非常に重要・有用です。しかし最
終的に患者さんの不利益になることがあるかもしれません。そこは気をつけない
といけないと思ってます。←自分にも言ってます。

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○○です

PercuSerge別売り大賛成です
コストを考えたら、両方あけるのは勇気が要ります
是非、別売りに期待します
その前にカネカのプロテクションバルーンがでたりして・・・

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○○です

○○先生、○○先生のご意見の通りだと思います
TRA-netでのディスカッションは大事なことで、ここから得られる情報
大切です。 でも、だから内の施設でも他所がしてるなら そのように
なんて考えるのは問題がありますよね
自分の技量、施設の技量(外科医も含む)を判断しストラテジーを決定すべきで

最終的には患者さんを治療することが大切なわけですから

で、○○先生の症例ですが、LMTに手を出さずに終われるならPCIを選ぶで
しょうが
このLMTのPlaque Raputureは以前のものとしても やはり手は出さないと
まずいです でしたらLAD1枝のMIDCABを選びます
私はSATの問題、再狭窄の問題が今以上に解決できなければ
LMT病変はCABGだと考えております

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○○です。パークサージやUPLMCAの話で盛り上がっているところ恐縮ですが恥
ずかしい話をひとつ。
本日、近医から85歳女性の発症3時間のAMIの依頼があり、もともと元気な方だという
ので快く引き受けました。さあ穿刺というところでカテ室に顔を出したのですが(準
備やムンテラは若い先生がやってくれました)、やや不穏状態でTRIは不能。
percloseを使用すればいいや!という軽い気持ちでFemoralからアプローチし、CAGを
行いました。RCA,LCXは大きな問題はなかったのですが、LADが見当たりません。LMT
から目を凝らしてノッチを探したのですが、それらしきものはありません。入り口が
違うのかと思いAoGまでおこなったのですがそれでもはっきりしません。今日は○○
先生もいらっしゃらないし、泣きそうになっていたら、そうこうしているうちに血
圧50,脈拍50となり、造影剤は大動脈内にpoolingという危機的状況になりました。
幸いショック状態はノルアドの使用で戻ったのですが、結局LADがよく分からないま
ま、なにか手がかりでもないかと左室造影を行いました。すると、、、、anterior
AMIは確かにそうですが、次第に右室が染まってくるではありませんか!!カテ前に
聴診器を持たなかった自分を諌めつつIABP、S-Gカテを挿入し、ICUに帰室しました。
ちなみに、見つからなかったLADですが、再度良くシネを見てみると、#12と思ってい
た直径1.5mm程の細い血管がseptal branchらしきものを何本か出していました。 ○○先生、こんな部下でスイマセン。

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○○です。
実は先週血栓絡みのLMTDで痛い目にあったばっかり(次から次に血栓はわいてくるは、Radial spasmは起こるは、心臓は止まるは、バルーンはちぎれるは、、、)なので、今回のdiscussionは身にしみております。結局、心外でつないでもらったのですが、○○病院 って心外あったっけ?(あったら失礼な話しですね。ごめん。)

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○○です。

皆様、多数のご意見・御指導ありがとうございます。
最終的にこの患者さんの治療をどうするかどうかは別として、
今回のケースの私のstrategyの立て方の浅はかさに反省しております。
仮に皆様と私の結論が共にPCIというところで一致したとしても、それに至る考え方
の深さは格段に差があることを知らされました。

私は初めてPCIをさせていただいてから約2年で今年で3年目になります。今までに
自分でnon-protected LMTのPCIをしたことはありません。また、当院には心外はな
く、EmでCABGが必要な場合は近いところで救急車で20分ぐらいかかる○○病院まで搬
送します。

もし、何かトラブルが起きたらどうするの?
に対する今回の私の答えは「多分、そんなことは起こらないだろう」だったのです。
浅はかですが、、、
確かに、もし何か起こったら、、、と考えていたならさすがに当院でPCIを、なんて
ことは考えなかったと思います。

しかし、今回のcaseは比較的low riskでLAD justと同等の病変、考え方によっては
LAD justよりもsimpleでeasyかもしれない。と考えてしまったのです。(ただ、やは
り当院のスタッフだけで行うには不安だったので同門で県内では頼りになる先生
(CABGを勧められた先生ですが)が、当院にいらっしゃったときにやろうとは思って
いたのですが、)
僕の頭の中はLMT-LADにStentを持ち込めればまず大丈夫、あとは落ち着いてやればま
ず大きなトラブルはなく何とかなるだろう、という考えでした。これが患者さんの幸
せにつながるんだと考えていました。

○○先生も仰られていますが、「トラブルが起きたときに(必ず起こります)・・・」
最近、忘れかけていました。

○○先生のご好意には涙が出ました。過密スケジュールの中、わざわざ○○まで足を
運ぼうなんてそんなことを言ってくださるなんて光栄の極みです。

もう一度、ゼロから考え直してみようと思います。明日、うちの部長が心臓病学会か
ら帰って来ます。よくよく考えて相談して、もし、それでも最終的にPCIということ
になった場合は、そのときは○○先生、図々しくほんとにお願いしてしまうかもしれ
ません。

最後に今回の私の一連のメールをご覧になられてご気分を害された先生がいらっ
しゃったら、深くお詫び申し上げます。
私、重々反省いたしておりますので、今後も私では判断に迷う症例に遭遇した際には
是非皆様お知恵をお貸し頂きたいと存じます。
宜しくお願い致します。

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○○です。

僕は決して○○先生を責めているつもりはありません。全く。○○先生とは最近
何回か会って、この人ならこのようなことを言っても大丈夫だろう、との確信犯
的判断もありちょうどLMCAでもあり今回の発言になりました。
だから、○○先生ゴメンね、なんかscapegoatにしたみたいで。
○○先生のように、僕でよければいつでも(とはいきませんが)可能な限り手伝
います。いつでも言ってください。またこういう(お助け)ネットワークも
discussionと同じようにこのnetの非常に重要な役割だと思います。

前にも書いたように○○先生の症例提示はものすごくいいやり方だと思います。
だからその部分は今までどおり活用するべき、ですよね。

**************************************

○○です。

日本全国にきっとこの症例はどうしたものかと思いつつ「えいやっ!」とやってしまっ
ている人がたくさんいるんだろうなと思いながらこの文章を書いています。

 よく考えると自分も何年か前までは...(「いまでもそうだろう!」という人がい
るかも知れませんが....)そうだったような気がします。みなさんも言っているよう
にこのTRA-netの重要性と言おうか、存在意義と言おうか..がとても浮き彫りにされ
たのではないでしょうか。○○先生、ここでいろんなことを言っている人は僕を含めて
もっとやばい目にあっているからこそいまがあるのではないかと思ってます。

いろんなことを吸収できる環境があるというのはとてもすばらしいことですね!
みなさん偉そうなことをいってすみません

なんかの宣伝にこのフレーズがありましたが......「入っててよかったTRAネット!」

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○○です。

>ここでいろんなことを言っている人は僕を含めてもっとやばい目にあっているから
こそいまがあるのではないかと思ってます。

まったく、○○先生のおっしゃるとおりで、自分の発言のベースも、昔、踏んでし
まったヤマが基本になっていますもの。

>「えいやっ!」とやってしまっている人がたくさんいるんだろうな

○○先生の文章にあるように、>「いまでもそうだろう!」とのご批判を私もいただ
くでしょうが、個人的には、「えいやっ!」とは、やらないこと、とても大切だと
思っております。最初の出だしをきちんとしておくと、踏んでしまうヤマの数は、確
実に減ります。ゼロには決してなりませんが。

私が知る、CABG・僧帽弁形成では天才といえる、偉大な心臓外科医は、ある日、成人
のVSDの手術ということで、ただのパッチ閉鎖であるにもかかわわず、その道の大家
を呼んでいました。内科医からみると、手術自体は、CABG+僧帽弁形成+ドールなんか
より、ずっとずっと簡単に思えたのですが、尋ねてみると、要するに、分野が違う以
上、踏まなくてすむヤマを、踏まないためなんだそうです。これほどの天才外科医で
すら、ここまで、万全を尽くすんだ、って、とっても印象的でした。

自分が、TRIを始めるときは、湘南にうかがって、齋藤先生の手技を拝見しました。
前任地でロータの施設基準をようやく取れたとき、札幌にうかがって、藤田先生に
ロータのコツを教えていただきました。DCAを始めるときは、相澤先生に御来院・御
指導いただきました。こうした先生方に教えていただいたことで、踏まなくてすんだ
ヤマの数は、数え切れないほどです。偉そうなこと言って申し訳ないのですが、こう
した面で、TRA-netが、これからのPCIを背負っていく若手の先生方のお役に、少しで
も立つことができれば、私ら、40過ぎの高齢者(?)は、とてもうれしいです。

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○○です。

> もっとやばい目にあっているからこそいまがあるのではないかと思ってます。

本当にその通りだと思います。実感。

>ぜひ皆さん(? 6F distal protectionの有用性を感じている人だけでいいです
が)、メドトロに別に売ってくれと言いましょう。

賛成。

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○○です

まさに、みなさんのおっしゃる通りですね
入っててよかたTRA-netですね

> にこのTRA-netの重要性と言おうか、存在意義と言おうか..
>がとても浮き彫りにされたのではないでしょう。
>○○先生、ここでいろんなことを言っている人は僕を
>含めてもっとやばい目にあっているからこそいまがあるの
>ではないかと思ってます。
はい、私自身もえらい目に会いましたし、えらい目にあった
人をたくさん見てきました

私も、このネットをもっともっと色々な事を吸収して
有意義に活用していきたいと思っております

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○○です。
> これほどの天才外科医で
> すら、ここまで、万全を尽くすんだ、って、とっても印象的でした。
これです、これ!!自分の知らないことをする時には一番それを知っている人に
聞く、これが一番です。一回見ておくのと全く見ていないこと、その違いは非常
に大きく、僕らがしていることはそれで患者さんの命に直結してますから。

最初を自分だけでしようというのは大きな間違いだと思います。

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○○です

私も同じようなことがありました。
CCUをある程度任されるようになったころの話ですが
夜間の緊急での事です。 寝てるところを起こされて
そのまま○○先生と同様にカテ室に直行して、ショック症例のPCIをして
IABP入れてなんとか血圧を維持させて、意気揚々と
自宅に引き上げました。
翌日になってCCUで心エコーしてる研修医の横に立って
いたら、なんとVSPではありませんか・・・
それ以来、まず自分の目で見て、聞いて、触ってから
するように心掛けております

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