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○○です。  関連画像<30−A>を参照してください。

表題に関して先生方のコメントをいただきたいと思います。
前回、○○先生や○○先生にご指摘いただいたので今回は静止画を添付します。

症例は98歳男性、右足の痛みによる歩行困難で近医より紹介されました。合併症はDM
と高血圧です。今までに典型的な狭心痛の自覚はありませんが、以前より間欠性跛行
のためにADLは低くまた糖尿病もあります。昨日のカテーテル検査の結果は添付ファ
イルを参考にしてください。左腸骨動脈と左浅大腿動脈に高度の狭窄をみとめ、左室
造影はEF=49%、冠動脈は全体に石灰化が強く、左冠動脈のproximalに90%mid
に75%狭窄、右冠動脈のproximalに100%閉塞bridgeでわずかに末梢が造影され
ますが対側よりcollateralは明らかなものをみとめません。

右足のPTAを明日に予定しましたが、冠動脈をどのように治療されるのかコメントを
いただきたいと思います。

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○○です。

98歳ですか、すごい時代になってきました。高齢者というより、超高齢者についての
議論になりますね。
私も、90歳台前半の治療(みな、ADLがしっかりしている人で、u-APか、AMIです)
は、何回かしたことありますが・・・。

何といっても、超高齢者では、基本的にカテ後の安静は保てないと考えたほうがよ
く、穿刺部合併症が一番怖いですが、radialからだと、確かに超高齢者でも、カテや
PCIが、そんなに危険性なくできてしまいます。ただ、突き詰めて考えれば、どこま
で適応を広げるか、国民総医療費的立場からの検討も必要なのでしょう。

さて、この症例ですが、痛いものは何とかしてあげないといけませんから、足のPTA
を行うことに、まったく異存ありません。でも、無症状でしたら、冠動脈は治療しま
せんね。薬のみでOKだと思います。98歳ですから、若い人と違って、生命予後改善の
ために、無症候性心筋虚血の治療をする適応はないように感じます。ただ、もし、こ
の人が、薬でコントロールできない狭心痛で、日常生活に困っているのであれば、
LADにステント2つ入れますが。

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○○です。

○○先生、左冠動脈の造影カテはなにをお使いでしょうか?両用カテのような形状に見
えます。
当院では、光藤先生タイプの両用カテを使っています。このカテの唯一の弱点である、
バルサルバが深いときにカテ先の方向がLMTと反対側をむいてしまう時、代替の形状
にJL3.5がぴったりです。この症例もそうではないかと思ったのですがいかがでしょ
う。
症例ですが、私は90歳以上については、今までの自分の経験は無効だと思うよう
にしています。「触らぬ神に祟り無し」と思います。痛がっている足のみの治療とし、
iliac Aにステントとfemoral Aにバルーンのみにしたいと思います。

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○○です。

○○先生はいつも貴重な問題提起をされ、
非常に勉強になります。

98歳となるとあらゆる分野で侵襲的な検査、治療
は二の足を踏まざるを得ません。
今回のアンギオもよく頑張られたな、との感があります。
私も○○先生や○○先生と同様、するなら足のみに
したいところです。

○○先生が書かれた理由で、「頑張って98歳にPCIしたぞ〜。
症状とれて良くなったぞ〜」といってもあんまり誉めてもらえない
ような気がします。

ところで足の虚血の場合、薬剤にかなり良く反応する患者さん
がいますが、この方の場合は、98歳ともなると薬の投与も頭を使いますから
iliacだけinterventionと私は考えます。

話はそれますが、末梢血管のステントの使い分けは
どうしてますか?それと○○先生!忙しそうですが今後こそコメントを!

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○○です

しばらくROMってばかりでした。

> 1.最近のcutting balloonが適していると考えられる病変。
> 2.IVUSを使用するうえでの目安。(適応)
> について、各先生方の考えを教えて下さい。

 ステント再狭窄について、最近経験した症例を紹介します。70代の女性でDMあり、
UAPで細いLAD #7) midにMultilink 2.5を入れたのですが、3か月めにre-ste
でcutting, その3か月めでまたresteでperfusion、その3か月めでまたまたresteで
した。一見するとreferenceは2.5くらいしかありません。さすがに今回は、○○で
は掟破りともいえる(?)IVUSを使用しました。referenceは、media mediaでたしか
に2.5-2.7くらいでした。しかし、病変部にはhard plaqueがあり、そのせいかステン
トはmaxでも2.2くらいしか広がっていませんでした。Powersail 2.75で18atmくらい
で拡張したら、IVUS上もきれいに仕上がりました。
 再狭窄の原因がステント拡張不十分である場合、せいぜい8atmしかかけられな
いcuttingではあまり良い成績が期待できないのではないでしょうか?

 なおレセプトには、○○先生のアドバイスに従い、IVUSの写真付きで経過を詳細に書
いた意見書をつけました。すでに3か月近くなりますが、切られたという連絡はあり
ません。

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○○です。

私も98才で胸痛がない患者さんにPCIはしないと思います。
ただ、PTAはやってもいいと考えますが、このPTAのストラテジーについて、○○先生、何かご教示願えませんか?

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○○です。

○○先生、○○先生、○○先生、○○先生、○○先生ご返事ありがとうございました。
寒い日は左足の安静時痛もあるようで、造影遅延が認められる浅大腿動脈のPTAを施
行しました。5mm径40mm長のバルーンで10気圧(nominal)で拡張しまし
た。乖離をしょうじることなく50%ぐらいまで広がりましたが、リコイルを考えると
ステント?と考えウォールステント6mm径28mm長を留置しました。(先生方の
ご意見をまた伺いたいので近日中に画像を送ります。)まだiliacが残っているので
○○先生のおっしゃるように、経験が多い先生にコメントをいただきたいと思いま
す。

>何といっても、超高齢者では、基本的にカテ後の安静は保てないと考えたほうがよ

○○先生のご指摘のごとく安静が一番心配で、PTAも上腕からのアプローチを考えま
したが浅大腿動脈の狭窄が末梢なので135mmの長さのバルーンではおそらく届か
ないと考え大腿からのアプローチで行ないました。以前の経験では大動脈の蛇行にも
よりますが大腿部の中央ぐらいまでしか届かなかったです。ただ末梢に向けてcommon
FAを穿刺するのは進入部位がたかくいつもヒヤヒヤです。

>98歳ですから、若い人と違って、生命予後改善のために、無症候性心筋虚血の治療
をする適応はないように感じます。ただ、もし、この人が、薬でコントロールできな
い狭心痛で、日常生活に困っているのであれば、LADにステント2つ入れますが。

>僕もまずは下肢のPTAを行います。その後虚血の症状や所見があるようならばPCIも
考えますが.....まずは内服コントロール、それでも日常生活に差し支えるような症
状出現するならば前下行枝に対してPCIを!

○○先生や○○先生のご指摘のごとく、「どうにか歩けるようにしてくれ。」とおっ
しゃっていて、しっかりされた患者ですが狭心症の自覚はまったくありません。無症
候性心筋虚血です。今後ADLがすれば(どこまで行けるかわかりませんが、)本人は
「どんどん歩く練習をせなあかん。」と期待されています。そこで内服治療を十分に
行なって狭心症状がどうなるかです。

>○○先生、左冠動脈の造影カテはなにをお使いでしょうか?両用カテのような形状に
見えます。当院では、光藤先生タイプの両用カテを使っています。このカテの唯一の
弱点である、バルサルバが深いときにカテ先の方向がLMTと反対側をむいてしまう
時、代替の形状にJL3.5がぴったりです。この症例もそうではないかと思ったのです
がいかがでしょう。

○○先生、私もFAはバルーンだけで25%ぐらいになればと思っていたのですが、
迷った末ステントを入れてしまいました。さて造影カテの種類ですが本症例に使用し
たのはご指摘のごとく両用カテです。○○病院の先生が「左トウ骨アプローチの両用
カテを作ったから評価してくれ」と5本くださり、使ってみた症例です。ちなみに○○の先生はご自分の作られたカテーテルでエンゲージできなかった症例はゼロだと豪語されていました。普段は左トウ骨アプローチ、4FーHKタイプM(アンプラッツの変
形?)という両用カテーテルを使っています。私は先生がお使いの光藤タイプを使っ
たことがないのですが評判はよいですね。

>ところで足の虚血の場合、薬剤にかなり良く反応する患者さんがいますが、この方
の場合は、98歳ともなると薬の投与も頭を使いますからiliacだけinterventionと
私は考えます。

○○先生のご指摘のごとく、iliacをとりあえず良くすれば症状が良くなる可能性も
大だと思いました。しかし、うまく伝えることができなかったのですがSFAは造影遅
延がありいかにも痛そうでしたので本日PTAを施行しました。iliacにどのようなステ
ントが良いのかコメントがありましたら教えてください。

>患者さんにとってPCIする事により生命予後の改善や、生活強度の改善や、胸痛発
作のコントロールができなければ単なる医者の自己満足ではないでしょうか?

大切なことです。

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○○です。
僕もまずは下肢のPTAを行います。その後虚血の症状や所見があるようならばPCIも考
えますが.....
まずは内服コントロール、それでも日常生活に差し支えるような症状出現するならば
前下行枝に対してPCIを!
僕も93歳の方に対して行った事がありますが、この方は大好きなゲートボール中に
胸痛発作が出現し内服ではコントロールできずに行いました。
以降症状がないので全く確認カテは行っていませんが、今でも楽しくゲートボールを
している様です。
狭ければ広げると言うどこかの施設のような適応の決め方には大反対です。
患者さんにとってPCIする事により生命予後の改善や、生活強度の改善や、胸痛発作
のコントロールができなければ単なる医者の自己満足ではないでしょうか?

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○○です。

左EIAの治療についてはSFA治療後に症状があり、患
者が希望すれば、左大腿動脈アプローチでEasy Wallstent留置を絡めて行います。

ところで、糖尿病、高血圧、左EIA狭窄(3カ所)と左SFA狭窄(severe)による間歇
性跛行を有するこの超高齢者の治療指針です。勿論施設によってモダリティが異なり
ますので方針が異なると思いますが、まずは、当科での方針の全体像をお話しします。
ちょっと回りくどくなると思いますが、ご了承下さい。

近医から紹介された時点で、左下肢の間歇性跛行があったとのことです。この時点で
外来で血管拡張作用を有する抗血小板剤(プレタールとバファリン、或いはドルナー
など)を投与します。腎機能低下がなければ、左右腎動脈から下肢までの経静脈性
のDSA、腎機能低下があれば骨盤〜下肢の造影MRAを施行します。症状が改善しない、
或いは改善の程度に満足しないということであればPTAの適応とします。

 ただし、今回の場合ですが、恐らく患者は満足しないはずですし、SFAで造影剤の
遅滞があったこということですので、ある程度急いでPTAを行うと行うと思います。

右腸骨動脈及び大腿動脈以下には問題ないとの仮定で書き込みします。
まず、左骨盤と左大腿部にX線不透過マーカーを張り付けます。
アプローチは右大腿動脈を穿刺し、逆行性に7Fのlong sheathを挿入しsheath先端を
右CIA近位まで進めます。その後はシェファードフック型のカテーテルを左CIAに引っ
掛け、そこから0.035のradifocusのGWを用いて狭窄部を通過し、SFA近位まで進め
る。(SFAの狭窄部までは進めない)
その後カテーテルを進めてから、GWをcordisのJindo 260cm(Amplazのsuperstiff
のように硬い)に交換します。その後対側から径7mm長さ4cmのバルーンカテーテルで
狭窄部(EIA狭窄の3カ所)を拡張します。
その後long sheathから造影剤を吹いて左EIAのDSAを撮影します。狭窄部が良好に拡
張され問題がなければそのまま左SFAのPTAへと移行します。dissectionや残存狭窄が
あれば(恐らくEasy Wallstentが必要となると思いますが)full openで径10mm
のEasy WallstentをEIA近位から遠位にかけて留置します。Easy Wallstentの長さは
恐らくfull open 7cmのものを使うと思います。その後、
径8mm或いは径7mmのバルーンカテーテルで後拡張を行います。

続いてストレートの90cmくらいのカテーテルを入れ、再びGWをradifocus 260cmに
変更します。long sheathからの造影で確認しながら、左SFAの狭窄部をGWで通過さ
せてから径5mm×長さ2cmで、長さ120cmのバルーンカテーテルでPTAを行います。シー
スからの造影で血流停滞するdissectionがあれば、full openで径8mm長さ3cmのEasy
Wallstentを留置しますが、軽いdissectionや軽度の残存狭窄であれば放置します。
(EIAの血流が十分確保されているので)また、Easy Wallstentを使うとなればGWは
勿論、Jindoに変更します。
その後はバソシールかProstar XLで止血でしょうか?

(追加1)左EIAでGW操作で内膜剥離などのトラブルを合併した場合には、左大腿
動脈を穿刺し逆行性にシースを挿入し対側から狭窄部にアプローチします。

(追加2)右大腿動脈からの左SFAの操作に手間取るときには左CFAを順行性に穿刺し
ます。この場合は上記との併用は出来ません。

以上、長々と書いてしまいました。カテーテルとGWに熟練されている先生方に大変
失礼かと思いましたが、恐らく普段使っているデバイスが違うはずとの思い込みから
です。御容赦下さい。

ところで気をつけなければいけないのが、右下肢の状態です。もし右腸骨動脈や大腿
動脈以下に狭窄などの問題があった場合、左側の治療によって右側の症状を訴える可
能性があります。同じように下肢の治療後にADLが改善し、むしろ狭心発作を起こす
ようになるという問題もあるかもしれませんが・・・。

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○○です。

気になっていたことがあったので続いてレスします。

“Parallel wire technique”
という用語はブラッドアクセスインターベンションでも用いますが、全く意味が違い
ます。用法は
”バルーンカテーテルと血管壁との間に別のガイドワイヤーを通した状態でバルーン
拡張を行う手法”
という意味です。その目指すところは拡張力をガイドワイヤーに集中させることによ
り、静脈狭窄で高圧でも拡張できない様な硬い病変を、より低圧で拡張させようとい
うものです。カッティングバルーンの代用のようなものだと私は考えていますが・・・

末梢血管でも時々このテクニックを用います。ステントが必要かなと思った症例でも
バルーンだけで結構きれいに拡張できたということもあります。
ある程度、硬い病変で有効かも知れません。

ご存じかとも思いましたが、参考までに。

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○○です。

PTAにあたって、教えていただきたいのですが、抗血小板剤の種類・量・期間などは
どのようにするのがいいのでしょうか?
また、follow upの造影の時期などは、いかがなものでしょうか?

私は、coronaryと同じようにやっているのですが...(というより、PTAをした患者さ
んには高率に冠動脈病変もあり、PCIもやっているので、同じ内服、同じfollow upで
済ませてしまってます)。

また、先日5ヶ月前に右外腸骨動脈にPTAをした66歳女性が、今度は左の間歇性跛行を
訴えたため造影したら、左外腸骨動脈の以前25%以下の病変が99%に進んでおりまし
た。こんなに早く病変が進行するとは驚きました。末梢血管ではよくあることなので
しょうか?
危険因子は糖尿病(内服など無しでHbA1c 6.5%)、高血圧・高脂血症(内服でコントロー
ル良好)、喫煙歴(40本/日:5ヶ月前より中止)です。coronaryにはLADとRCAにステ
ントが入っております(再狭窄無し)。
近日PTAを予定いたしました。

○○先生はじめ、みなさま、いろいろ教えてください。

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○○です。

先生方に御教授頂きたいのですが、下肢末梢血管へのステント留置は、どの程度遠位の
血管まで可能なのでしょうか。superficial femoral Aの狭窄にステントを留置した場
合、患者さんが正座をするとステントが押しつぶされるようなことは無いのでしょうか
。自分は今までcommon femoral Aより近位にしか、ステントを入れたことがありません
でした。

宜しくお願い申し上げます。

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○○です。(添付ファイルはSFAの治療です。)

関連画像<30−B>を参照してください。

○○先生、コメントありがとうございました。

左CFAを順行性に穿刺し6FsheathをSFAにすすめました。付属ソフトの大まかな計算
で5mmとなりましたので、径5mm、長さ40mmのballoon cathetel と0.035の
radifocus GW 180cmをOTW systemにして病変をcrossしたのち10atm×3回拡張しま
した。著明なdissectionなく拡張できましたが一部の残存狭窄が50%に見えたので
迷った末に径6mm、長さ28mm (full open)のEasy Wallstentを留置しました。
(経験が少ないので冠動脈に準じてサイズは”1:1.2”を用いました。)術前のABI
は0.2でしたが本日は0.48まで改善しています。

>GWをcordisのJindo 260cm(Amplazのsuperstiffのように硬い)に交換します。

このwireを使えば容易に右から左にballoonやstentをdeliveryできるのでしょうか?
そうではなくて違う意味があるのでしょうか教えてください。

>dissectionや残存狭窄があればfull openで径10mmのEasy WallstentをEIA近位から
遠位にかけて留置します。Easy Wallstentの長さは恐らくfull open7cmのものを使
うと思います。その後、径8mm或いは径7mmのバルーンカテーテルで後拡張を行いま
す。

Easy Wallstentのサイズ決定はどのようにされているのでしょうか?

>“Parallel wire technique”という用語はブラッドアクセスインターベンション
でも用いますが、全く意味が違います。用法は”バルーンカテーテルと血管壁との間
に別のガイドワイヤーを通した状態でバルーン拡張を行う手法”

何かの本で読んだことがありますが、シャントのPTAで病変の中枢側から吻合部に向
けてwireをcrossした後に吻合部でwireを反転させ病変部をre-crossさせ、病変血管
壁とballoonの間にre-crossしたwireをはさみこみ拡張するという“Parallel wire
technique”があるそうです。

○○先生に質問なのですがpalmaz stentは他のballoon catheterに乗せ変えることは
可能なのでしょうか?

***************************************

○○です。

Forgaty先生の一番弟子で、現在アメリカの血管外科ではboss的存在のDr. Dietlich
(Arisona Heart Institute)のところにいたことがあります。そこでの経験ですが、
一般にiliacのstentingの成績は他の治療法(balloon, endoarterectomy, bypass)
に比べて良いとされており血管外科の先生も認めているところでした。当時(7〜8年
前)、iliac AにはPalmaz stentが好んで使われており、大転子付近にはWall stent
が試みられていました。そのtrendは変わっていないとは思います。(○○先生、そ
このところはどうなんですか?)Femoral A.以下に関してはinterventionは再狭窄が
多く、外科医(data集めをしているレジデントの意見。当時のbossは首と腹にstent
を入れることに熱中していました。)の中では、opeの方が侵襲も少なく良いという
感想でした。やはり骨盤内と下肢とではstentの適応は異なると思います。

ということで当院では、iliacにはPlmatzかwallstentをルーチンに入れています。
femoralはcoronaryと異なりつまったら触診ですぐにわかるし、また刺せばいいと言
う気軽さで、少々dissectionができてもバルーンのみで終わっています。

先の症例のfemoral Aの狭窄は、ちょうど動脈が筋層内から外にでてくる大腿筋膜の
部分で、femoralのASOの好発部位です。解剖学的につぶされやすい場所ですし、外的
圧迫もうけやすいと考えられます。 

***************************************

○○です。

末梢血管に対するPTA後の薬物治療は冠動脈と同様と思います。ただし、対象となる
年齢群は閉塞性動脈硬化症の方が全体に高齢よりにシフトしています。(当科では平
均67歳)よって治療後は半永久的に薬物を投与する患者さんが多くなります。投与期
間の一応の目安としては60歳以下は基本的に6ヶ月間、60〜70歳はケースバイケース
(危険因子と本人の希望)、70歳以上は半永久的に服用としています。

薬剤の選択は難しいです。優等生的な発言ですけど、抗血小板剤の種類については医
師の考えや経験が一人一人違いますので、薬物に対する印象もそれぞれ違うと思いま
す。よって結局は御自身の判断ってことになると思います。私の施設では放射線科で
は一応低容量アスピリンをベースとして、後はシロスタゾール或いはチクロピジンを
投与してます。量は通常量です。
当院の外科はアンプラーグが好きみたいです。ところで市内の開業医の先生はPGE1製
剤が好きなようです。

閉塞性動脈硬化症などの治療方法全般に関するエビデンスについてはTASC「下肢
閉塞性動脈疾患の診断と治療に関する指針」を参考にされてください。(定価は2800
円ですが、○○製薬のMRにお願いすれば入手可能です。)

> また、先日5ヶ月前に右外腸骨動脈にPTAをした66歳女性が、今度は左の間歇性跛行を
> 訴えたため造影したら、左外腸骨動脈の以前25%以下の病変が99%に進んでおりまし
> た。こんなに早く病変が進行するとは驚きました。末梢血管ではよくあることなので
> しょうか?
良くあることではないと思います。
経験では閉塞性動脈硬化症で経過見ていた患者さんが腰部脊柱管狭窄症により歩行困
難となり、車椅子生活を送っていたら、およそ2年で骨盤〜下肢動脈全体がボロボロ
になっていくのを見たことがあります、。

***************************************


この程度に治療できていれば確かに迷いますよね。でも腸骨動脈の治療を前提にする
のだったらEasy Wallstentは不要だったかもしれません。
また、今回の○○先生の症例で、ステントを留置する決心をしたのなら、私ならもっと
上方のやや不整な部分から留置し、full open で 8mm×7cmのものを留置し、径6mmで
後拡張すると思います。
(循環器内科の領域では”spot stenting”という言葉があったように思いますので、
○○先生が長さ28mmのEasy Wallstentを選択された気持ちはよくわかります。)

> >GWをcordisのJindo 260cm(Amplazのsuperstiffのように硬い)に交換します。
>
> このwireを使えば容易に右から左にballoonやstentをdeliveryできるのでしょうか?
> そうではなくて違う意味があるのでしょうか教えてください。
対側アプローチの場合ですが、腸骨動脈の形状にもよりますが、症例でみられた程度
の蛇行なら容易に対側アプローチは可能だと思います。
バルーンカテーテルだけなら別に Jindoを用いる必要なく、バルーンカテーテルを手
でしごいて癖をつければ簡単に対側腸骨動脈に落とすことは可能です。
問題はEasy Wallstentの場合です。Easy Wallstentを対側からアプローチするときに
はある程度、しっかりしたGWでないとEasy Wallstentの手前側が折れて操作困難に
からです。
このワイヤーが好きなのは0.035といいながらやや細身でしかも十分な硬さを保持し
ており、かつPTFE coatingなため、多少ワイヤが乾いててもカテーテル交換がしや
すいことです。

> >dissectionや残存狭窄があればfull openで径10mmのEasy WallstentをEIA近位から
> 遠位にかけて留置します。Easy Wallstentの長さは恐らくfull open7cmのものを使
> うと思います。その後、径8mm或いは径7mmのバルーンカテーテルで後拡張を行いま
> す。
>
> Easy Wallstentのサイズ決定はどのようにされているのでしょうか?
術前にCTを撮影してどれくらい拡張可能かおおよその径を決めます。
基本的には外腸骨動脈では8mm、SFAでは6mmとれれば十分とおもいます。


> ○○先生に質問なのですがpalmaz stentは他のballoon catheterに乗せ変えることは
> 可能なのでしょうか?
>
可能です。先だってはPalmaz stentをSLALOM(Cordis Japan)に乗せ変えてややスリ
ムにしてからガイディングカテーテルの中を通してPTRAを施行しました。
今のPalmaz stentははずしにくくなっていますが、うまくはずすことは可能です。
また再マウントしたPalmaz stentが留置時にずれないようにするためにはコツと多少
の力が必要です。

***************************************
○○です。

まず○○先生、
> 再狭窄の原因がステント拡張不十分である場合、せいぜい8atmしかかけられな
> いcuttingではあまり良い成績が期待できないのではないでしょうか?
僕も最初はステントの不完全拡張である場合はまずはバルーンで、と思っていま
したが実際Cutting Balloonでもちゃんとステントの再拡張が可能です。Cutting
Balloonでもステント外に出ないようにすれば12atmはいつもかけていて問題なし
です。

最近の話題のperipheralについて、僕はあまりperipheralは積極的にはしていま
せんが、iliacにステントを入れてflowを改善して、femoralはとりあえずバルー
ンするかどうか、って思っていました。
SFA stentって再狭窄が多いと岸和田徳洲会の横井先生も言われていたように思
うのですが、いかがなものでしょう。僕のあまり数多くない経験でも結構再狭窄
している気がするのですが。
IliacのみでOKとなるとlt CFAの通常のpunctureだけでOKでより簡単に済むとも
思ったのですがどうでしょうか?

***************************************

○○です。

つい先日、TRIでステント脱落させたけどうまく回収できた例があったのでステ
ントの写真とともに披露します。

関連画像<30−C>を参照してください。

症例は75歳男性、mid LAD D2の分枝部の高度狭窄とその手前の中等度狭窄を認め
した。IVUSで観察しD2はステントでも側枝閉塞しないと判断しD2の少しdistalか
ら Tristar 4.0*23mmを留置、その後stent distalの石灰化の部分がRAO cranial
で治療を要する狭窄となり(原因はよくわからない)ちょうど15mmだったため
MLplus 3.0*15を留置しようとしたところ、LMCAから入らず。ここでMLplusだっ
たことを忘れておりかなりガイドカテーテルを入れ込んだりいろいろ操作したが、
どうしても入らず仕方なくガイドカテーテル内に回収しようとしたところステン
トのシステムごと全く引けなくなった。(この時点で明らかにおかしく、ステン
ト脱落を考えなくてはならなかったが最近のステントではよほどのことをしても
脱落しないのでまだ脱落に気づいていない)しかたなくシステムごと抜去したと
ころ抜去は可能でradialまで引いてきたとき患者さんがいきなり滅茶苦茶痛がっ
た。ここで引くのはやめ(当然)少し奥に押し込んで、この時点でバルーンだけ
抜けたがステントはなくなっていた。
透視で肘のところを見るとぼんやりと塊が見えステントと思われ、0.014inchの
ワイヤがステントの中に残っていたため 0.014ワイヤで6Fシースを7Frロングシー
スにかえ、スネアで回収を試み、上腕動脈の屈曲したところでうまくcatchでき
スネアで捕まえたまま7Fシースの先端まで引いてきた。7Fシースの中には入らな
かったがちょうどつぶれたステントでシースを蓋した状態になり容易に全く痛み
もないまま抜去可能であった。
0.014ワイヤは残っていたので抜いた7Fシースをもう一度入れなおして、最終的
にはTristarを入れて終了できました。

添付でつぶれたステントの写真をつけておきます。シースの中に入らなくてもちゃ
んと抜けるってことがポイントですね。あと7FでPCI中も特に出血なく出来まし
た。

***************************************

○○です。

○○先生、アドバイスありがとうございました。治療する前にざっとTASCの指針には
目を通したのですが、技術的な判断が難しく(たとえばどの程度のrecoilでステント
を留置したほうが良いのかとか、ステントのサイズや長さの決定はどうすれば良いの
かなど。)今後もひきつづきアドバイスお願いします。先生のご意見を伺うと、径は
full openで2〜3mm大きく、長さは病変をfull coverするものを選択されているよ
うな印象を受けました。

***************************************

○○です。

> ○○先生、アドバイスありがとうございました。治療する前にざっとTASCの指針には
> 目を通したのですが、技術的な判断が難しく(たとえばどの程度のrecoilでステント
> を留置したほうが良いのかとか、ステントのサイズや長さの決定はどうすれば良いの
> かなど。)今後もひきつづきアドバイスお願いします。先生のご意見を伺うと、径は
> full openで2〜3mm大きく、長さは病変をfull coverするものを選択されているよ
> うな印象を受けました。

そうですね。Easy Wallstent は拡張力が弱いようです。私としてはここでは6mmが欲
しいと思いますので、少し大きめの8mmを選択すると思います。以前に浅大腿動脈閉
塞に対する再開通時にfull openで径6mmのEasy Wallstentを用いたときのことですが、
十分な拡張が得られなくて後悔した覚えがあります。(そのころにはあまり血管壁に
ストレスをかけるのはよくないからと思い、6mmを選択したつもりだったのですが)
また異論はあるでしょうが、病変はfull coverするように心掛けています。

治療方針ですが、全体のバランスが大事と思います。外腸骨動脈の治療によっ
てinflowが増すことになり、浅大腿動脈の血流が全体に増加します。そのため、浅大
腿動脈の治療があの程度できていれば十分な開存が期待できると思いますので、Easy
Wallstent は不要かなと思いました。もちろん浅大腿動脈に大きな解離ができれば迷
わずEasy Wallstent 留置となると思います。

ところで浅大腿動脈の病変についてですが、以前のSCVIRの報告では、stent使用群
とBalloon angioplasty単独群との比較ではBA群の方が長期開存が得られるとの結果
でした。(50例の比較です)

でも実際にはstentを用いるケースも少なくはないです。(閉塞の場合)
以前Palmaz stentを用いて治療を行っていた時には再狭窄率が60%と惨憺たる成績だっ
たので、その後はおとなしくしていました。しかし、SMART stentやEasy Wallstent
が発売されるようになり、最近はぼちぼち始めています。(注:SMART stentは下肢
動脈に対する保険適応はとれていません)印象としてはEasy Wallstent よりSMART
stentの方がいいようですが、あくまで感触だけです。今後両者が一般に使用できる
ようになれば成績の違いをだせると思います。

***************************************

前略

○○病院 循環器科勤務の○○と申します。
昨年12月より○○副部長の指導の元、循環器医療に励んでおります。
まだ右も左もわからない新参者ですが、諸先輩先生方から
たくさんの事を吸収したいと思っておりますので
何卒ご指導下さいますようお願い致します。

                      敬具

***************************************

○○です。

○○先生、ご返事ありがとうございました。先ほど98歳の患者さんのご家族と話しま
したが、「何度も臥床が続くとボケてしまうと困るから、EIAの治療を上腕Aからアプ
ローチできないか?」とおっしゃられています。なんとか家族の意向に沿いたいと思
うのですがEasy Wallstenの位置決めなどが難しくなりそうです。経験されていたら
教えてください。

>SMART stentやEasy Wallstentが発売されるようになり、最近はぼちぼち始めてい
ます。(注:SMART stentは下肢動脈に対する保険適応はとれていません)印象とし
てはEasy Wallstent よりSMARTstentの方がいいようですが、あくまで感触だけで
す。今後両者が一般に使用できるようになれば成績の違いをだせると思います。

心臓血管外科の先生が新しく赴任されてから一ヶ月になりバイパス術の開始は4月以
降なのですが周辺の医院からASOが集まり始めており毎週のように造影の予定が入っ
ております。今後はPTAも増える可能性が高いのでSMARTstentを取り寄せる予定にし
ました。ただ保険適応がないので使用できるかどうか…

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○○です。

上腕動脈から腸骨動脈に留置した経験は残念ながらありません。
また、Easy Wallstentのデリバリーシステムは長いもので135cmだったと思いますが、
左上腕動脈からのアプローチで確実に届くかどうかはちょっと自信がありません。自
分としては、超高齢者の上腕動脈に7Fシースを挿入した経験もあまりないので、ちょっ
と怖いような気がします。(この辺は経験の差だと思いますが)
7Fシースの挿入に問題なく、また135cmのデリバリーでEIA遠位まで届くというのであ
ればよいと思いますが、Easy Wallstentの位置決めは難しそうですね。まあ留置
はpush in方式が一番確実でしょうし、当然ワイヤーもやや硬めのものが操作しやす
いと思います。また、ワイヤーが長くなるのでその先端が悪さしないような注意が必
要です。

もし、目的が長期間臥床しないようにするということだけであれば、止血用のデバイ
スを用いる方法は駄目でしょうか?
Prostar XLは6万円弱、バソシールも4万円弱ですので、相談によってはそれほど無
理な金額ではないと思います。
The closerは使ったことがないので判りませんが、preclose法は使えるのでしたっけ?
これだったらGetz brosのバルーンのおまけだったと思いますが。

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○○です。

ご本人、家族の方、主治医、私で話し合った結果、同側のCFAからEasy Wallstentの
push inを視野に置いたPTAを明日の午前中に施行する予定になりました。貴重なアド
バイス有難うございました。止血ディバイスの話もしましたが主治医の先生(血管外
科)が止血ディバイスに対して抵抗があるようですので用手圧迫になりました。
一般に血管外科の先生は止血ディバイスをどのように思われているのでしょうか?否
定的?あるいは肯定的?一度聞いてみようと思っています。

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○○です。

止血デバイスのことですが、使用後の仮性動脈瘤形成のことでも気になっているので
しょうか?

以前、Prostar XLを用いて止血した後の状態を外科医にみてもらう機会がありました。
1例は止血直後で、もう1例が止血1週間後でした。写真がないので外科の先生の話
だけですが、
直後の1例は「糸がきれいに血管壁にかかっていてよく止血できていた。」と言われ
ましたが、もう1例は「糸をかけた部分が少し狭窄していた」とも言われました。
そう何回も使うこともないと思うので、大腿動脈の径が十分あれば、止血デバイスの
使用は何ら問題ないなと思いました。

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○○です。

本日、TRI患者さんで、次のような事がありました。
70才代の女性で小柄の方に6FでPCIをしました。
術後少し経って前腕が硬く腫脹しているのに気付きました。
痛みはその部を押さえると感じる位で悶絶してはいませんでした。
上腕や橈骨動脈の拍動はあり、手指の動きは正常です。

血管超音波では丁度腫脹部(ここは16cmシースの先端にあたる?)
で血管内フローの低下があり、血栓形成?を示唆する血流の偏位がありました。
放射線科医師に尋ねたところ、血管の解離が形成され、一時的に血管外に血液が
もれたと考えられ、血栓が血管壁に形成されたのでは?といわれました。

術前の橈骨動脈径は2.3mmで、上腕動脈との分岐部まで同じ径でした。
術中はシース挿入時に痛みを訴えておられました。(カテ室入室時から
かなり緊張され、涙ぐんでいるくらいでした)
つまり、シース挿入時にスパスムが生じていて血管の過進展により
解離が出来、血液がwoozingしてのでは?と考えました。

今は、フローが落ちていて、かつ最も腫脹が強い部分を透析ベルトで
圧迫しています。
自分自身では初めての経験ですが、皆さんは如何でしょうか?

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○○です。
関連画像<30−D>を参照してください。

○○先生、数日間の多くのアドバイスやコメント有難うございました。非常に勉強に
なりました。
Proximalの石灰化病変に乖離が生じてしまいましたが、先生のアドバイスどうり
10mm×7cmで3病変をぴったりfull coverできました。

止血ディバイスが使用できるようになって私もときどき施行しているわけですが、止
血の確認、超音波検査、再穿刺の可否などでsutureの出来を判断しています。ずいぶ
ん昔ですが大学にいた頃に同側のEIA狭窄とSFA閉塞のASO症例に対して放射線科がEIA
をPTAされ、血管外科がSFA閉塞をFP‐bypassされていたcaseをみたことがあります。
今ではハイブリッド治療とでも呼ぶのでしょうか?FP‐bypassの中枢吻合部はPCIや
IVTの穿刺部に近いので、○○先生が先に述べたハイブリッドのご経験があり止血
ディバイスを用いられたcaseがあれば血管外科がディバイスによる止血部を直接確認
できているのではないかと思い質問させていただきました。先生にコメントをいただ
いてうまく止血できているようなので心強く感じました。まあ、腕の差があるので
DCAのあとぐらいしかディバイスを使っていない私が先生と同じようにうまくできて
いるとは限りませんが…

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来週、72歳男性、eAPにてPCI予定しています。(#12 90%)
stent 3.0mmを考えていますが、基礎疾患に肝細胞癌、肝硬変
あり、血小板が5万から7万程度です。
このような場合、抗血小板剤はどのように使用していますか?

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○○です.

病変形態や患者の全身状態にもよりますが、
出血性素因がある場合、POBA, DCA, cutting、Rotaをまず考慮します.
もしステントを植え込む場合は、肝障害の頻度が少ない
プレタールをパナルジンの代用として使用することも考えます.
パナルジンよりプレタールの方が服薬中止後の抗血小板作用の持続時間も短いため、
実際に出血が起きた際の危険性も低いのではないかと思います.

もし外科の手術前の症例でしたら、手術施行時期は、
ステント非使用例ではPCIから2週以降、
ステント使用例ではPCIから3-4週以降に予定とします.

アスピリンは手術1週間前に中止します.
ステント使用例におけるプレタールは、手術2-3日前に中止します.
なお、パナルジン使用例ではプレタールより早めに服薬を中止しています.

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○○です。

○○先生の質問に対するコメントです。
HCC、LC、血小板減少があるにもかかわらずPCIを予定されていることから想像する
と、HCCがある程度コントロールされておりLCによる肝障害も高度ではないが出血性
合併症のリスクが気になるといったところでしょうか?まず、ヘパリンが以前に使用
されていなくても自己免疫疾患や悪性腫瘍患者はHIT抗体を持つ可能性がゼロではな
いらしいので、前もってHIT抗体を調べるかアルガトロバンを使いたいと思います。
HIT抗体が無ければヘパリンでaPTTを45〜70secぐらいに保てば良いと思います
が、HIT抗体が測れない場合やHIT抗体がみとめられる場合はアルガトロバン
(10mg/1A)を2時間ぐらいかけて持続点滴し凝固時間を投与前の1.5〜2.0倍に保つよ
うに調節すると思います。「ここまでしなくてはならないのか?」と思われるかもし
れませんが、この患者でHITが起これば冠動脈に血栓ができるだけでなく、血小板が
さらに減少し大きな出血性合併症が起こると考えられるからです。
さてPCIをする場合はできれば術後にパナルジンは使いたくないのでelective
stentingの適応はなさそうです。PCIの適応になる潅流域があり3.0mmのstentが
implantできることから、大きな#12だとすると最初に考えるのはdebarkingでしょ
う。DCA alone or Rota+POBAを選択することが困難な場合は目をつむってCutting
(POBAよりましな気がしている)でしょうか?不幸にもprovisional stentingを施行
した場合はプレタールかアンプラーグか?いずれにせよ血小板が下がる可能性はあり
ます。私の場合#12の潅流域がそれほど大きくなくDCA alone or Rota+POBAを選択
することが困難な場合はmedicalです。

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