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○○です。 第29集関連画像を御覧下さい。

症例は72歳男性、高血圧、高脂血症、糖尿病、昨年9月に低左心機能精査(NYHA II
度)にて入院され心カテ所見はEF=38%、#6just 75%、#7 D1distal 100%(CTO
閉塞期間不明、石灰化著明、small RCAよりgood colltaral、閉塞長5mm)、
dominant CX 90%(15mm、偏心性、潰瘍病変)、RCA small normalでした。
この時点では患者がCABGもPTCAも拒否され、内服加療で外来通院となりました。今年
になり狭心症が出現し(CCS 3度)、昨日の心カテでEF32%#6just 99%と進行し
ておりその他は前回同様でした。今回は症状が強いらしくCABGでもPTCAでもうけるか
ら直してくれと希望されています。入院後は軽労作で発作は起こっていませんが、私
は転院による早めのCABGを主治医に勧めました。しかし、主治医は<中略>
「#6just 99%だけをPCIしてほしい、CXとLADのCTO distalは4月以降に本院でCABGをしてもらう。」と主張していま
す。来週の心臓血管外科との合同カンファレンスがあります。
みなさんどうされますか?

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○○です。
トップバッターで、蜂の巣覚悟で私見を。

糖尿病・三枝相当。心機能低下:手術リスクがよっぽど高くない限り手術適応であること
は問題ないと思います(でもPCIしてみますか?)。手術の目的は、症状改善より予
後改善です。ですから、完全血行再建を目指します(LITA-D1, RITA-LAD, RA-OM-PLの
出来る施設で)。ただ、前回手術・PCIとも拒否されており、症状が消えてしまえば4
月の手術は拒否される可能性もあると思います。LADのみにPTCAを行った場合、再狭
窄がなかったらそのまま薬物治療になりかねないのではないでしょうか。また、PCI
もLMTをいじるので危険です、といって、PCIはしません。また、CABGとしては非常
にリスクの高いものになるでしょう、立ち上げ時期にハイリスク症例をして、死亡したら・・
・・。と上司を脅して、他院でCABGを今うけてもらう事にする作戦で行くと思います。

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○○です。
○○先生ご意見ありがとうございました。

>前回手術・PCIとも拒否されており、症状が消えてしまえば4月の手術は拒否される
可能性もあると思います。LADのみにPTCAを行った場合、再狭窄がなかったらそのま
ま薬物治療になりかねないのではないでしょうか。

このことは考えていませんでした。たしかに経過から考えても可能性が高いと思われ
ます。
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○○です。

「業者とインターネットを用いた総合的物品管理システム」は僕にとって興味深い話
題でした。「面会」の話も目から鱗でした。今後もいろいろと教えてください。

今回もまたexcitingな症例呈示ですね。ROM化してしまう前に、私もお返事メー
ルを送ります。この症例は、LAD justの病変が増悪して症状がでていますので、一期
的にバイパスをする場合#7のCTOより近位の領域(D1か#7?)に最低1本つないでも
らうのですよね。右がsmallなのでLAD#8にも必要でしょう。LCXの病変の部位が記載
されていませんが、ここにも1〜2本必要でしょう。risk factorから予想するにrun
offもあまり良くないとなれば、この方には両側ITAプラスアルファの動脈グラフトを
つなぐ必要がありそうです。しかも低左心機能。

このバイパスが特別難しいとは言いませんが、開始早々の施設でやってもらう事
は、ためらわれます。外科の先生が経験豊富であったとしても院内のスタッフは不慣
れなはずです。やはり自分のところの外科をうまく立ち上げたいと考えるのであれば、
初期は症例数にこだわらず、合併症の起きにくい症例を選んで、送ってあげるのが良
いのではないでしょうか。

さて、いくつか知りたいことがあります。この症例に対してもLMTを含
むstentingと言う方法を選ばれる先生の意見が出てくると思います。LMTと両justの
血管の状態・サイズ、LCXの病変の位置、各末梢の状態を教えていただけませんか?
今回、PCIをするのであ
れば、バイパスの適応が無くなるくらいに完璧にやってあげたいのですが、いかがで
しょう。

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○○です。
私の治療方針は転院してCABGですが、もしPCIをどうしても施行する状況であれば?
でストラテジーをかんがえてみました。

まず、IABPとPacingカテーテルを挿入します。対側造影用カテーテルを挿入して、FA
より8FガイディングカテーテルJL short-tipで左冠動脈を選択します。インターメ
ディエートガイドワイヤーでD1を選択して径3.5mmのバルーンで#6を拡張します。CX
に少し飛び出してもよいぐらいの気持ちで径3.5mmの短いチューブステントを#6に留
置します。インターパスを挿入してインターメディエートワイヤーを用いて対側造影
をしながら#7CTOを探ります。静止画ではわかりにくいですがチャンネルが開いてい
る可能性もあり(コラテラール血流が行ったり来たりする。antegrade血流もじっと
見ていると細かい血管が末梢まで終えて閉塞しているのは1cm以下に見えるなど。
あとはカンです。)ワイヤーをうまくクロスします。もちろんクロスできなければ終
了ですが…、とりあえずクロスできたとして1.5mmのバルーンで拡張した後、CTO部の
血管径と#6のステントサイズが正しいかどうか確かめるためにIVUSをします。恐ら
くLADの長さからCTO部の径は3.0mmぐらいはありそうですが、末梢がやせているの
で2.5mmのバルーンでCTOを拡張します。石灰化があるのでうまく行っても14mm以上
の乖離が生じて、リコイル、石灰化、末梢とのミスマッチなんかが頭にあるのでラ
ディウスステントを乖離のdistalに留置します。これでひどい乖離が残らなければよ
いのですが、あとひとつぐらい3.0mmのステントが必要になると思います。LADの処
理がおわり、CXにワイヤーをむけてワイヤーをクロスします。ややこしそうな病変な
ので分岐部に少し飛び出すぐらいの気持ちで(何も起こらないでくれと祈りながら)
3.5mmのチューブステントをdirectに留置します。IVUSをみてステントサイズが足
らない時は3.5mmのバルーンで高圧拡張します。(最初からアンダーサイズの気がし
ているのですが、IABPが入っていてもno-reflowが起こるといやなのでどうしても優
しく広げてあとから帳尻を合わしてしまいがちです。)手技時間2時間で終了です。
感想は「CTOもうまく行ったし、再狭窄はあるけど当面はCABGはしなくてよいな。
じゃあ○○君、IABP抜いておいてね。」本当にこれでよいのでしょうかね?

使用物品
IABP
Pacingカテーテルとシース
診断カテーテルとシース
ガイディングカテーテルとシース
ガイドワイヤー 1本
インターパス
バルーンカテーテル 3本(1.5、2.5、3.5)
ステント 4本(3.5、ラディウス、3.0、3.5)
IVUS 1本
造影剤 400ml

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○○です。

> 使用物品
> IABP
> Pacingカテーテルとシース
> 診断カテーテルとシース
> ガイディングカテーテルとシース
> ガイドワイヤー 1本
> インターパス
> バルーンカテーテル 3本(1.5、2.5、3.5)
> ステント 4本(3.5、ラディウス、3.0、3.5)
> IVUS 1本
> 造影剤 400ml
>

ストラテジーの善し悪しは別として、以上のレセプトを○○県で書けば、
バルーンとステント合わせて7本のうち4本、
IVUS1本、
造影剤150ml分、

以上は切られる覚悟でしなければなりません。
勇気いるなあ〜〜〜〜。

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○○です。

○○先生の症例を見せていただきました。まず、こんなことを言うのは正論すぎる?
と言われるかもしれませんが、自分のところの心臓外科の予定うんぬんで適応を
決めるのは話にならないのではないでしょうか。その時期にこの症例があってど
うするっていう話ならまだしもこれを待たせてって、ちゃんと説明したとしても治療の方針上どうも患者さんの
ことを考えているとは言い難いと思うのですが。

で、この症例をどうするか、これも僕の施設ならPCI CABGどちらもありと思いま
す。CABGだったらoff pumpでD1 distal LADに1本ずつ、LCXは大きなPLに1本か2
本、できれば4PDにも 動脈グラフトでつないでもらうという条件です。
PCIなら、LAD ostiumはDCAをして mid LADのCTOは当然あけて、mid LCXは4.0mm
のステントを入れて、残存心筋から考えてRCAもするかもしれません。RAOviewで
mid RCAのRVbrのdistalが高度狭窄に見えますので。ここが大丈夫ならRCAはしま
せん。というわけでPCIだと初期治療に2回(stage 1でLCXはulcerがあってすでに
ruptureしたplaqueでしょうから今のdistal emboliのriskは低いと考えdirect
stentして、ついでLAD ostiumをします。Stage 2でLAD CTO)、再狭窄が2 or 3回
で最後に卒業のCAG、全部で4-5回の入院が必要になると説明します。そうなると
現実的にはかなりCABGが嫌って言う人でない限りCABGが1st choiceになるでしょ
うね。僕自身が患者さんだったら上の条件に合うCABGだったらCABGを選ぶと思い
ます。

使用物品を○○先生に倣って、僕の場合も書きます。
ただし、#7が本物のCTOとして、です。

Stage 1
IVUS x1, stent x1, DCA x1
wire x3
micro catheter x1
造影剤 請求は250ml、実際は300ml

Stage 2
balloon x2, stent x1
wire x3
contrast 請求は250ml、実際は400ml

うちでは同じ人のstaged PCIの場合にはinformed concentを取って、その人の
stage 1での物品をガス滅菌して使用しています。だから stage 1のIVUS, wire,
stent balloonはstage 2に使用可能です。
後たぶんstage 1にstage 2で使うことを考えstiff wireを1本使います。

○○先生、これだったらほとんど減点されずにできますよ。同一月にLCX+LADと
LADは通りますし、同一月にしてあげれば高額医療の支払いも1ヵ月分で済んで患
者さんの負担も減ります。

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○○です。
○○先生ご意見ありがとうございました。

先生のご指摘どおりこの症例のLADostiumだけをPCIするのはどんな状況であれひどい
話です。

○○に変わってからとくに経験することが多いのですが、家族と本人に色々
risk/benefit/costを説明して「どの治療法を選ばれますか?」と尋ねると「先生に
お任せします。」と答えられ、良く理解できていないのかと思いもう一度説明すると
「わかりました。先生にお任せします。」と答えられ、また説明して…。延々1時間
ぐらいかかって結局私が良いと思う治療を薦めることになることが多々あります。
○○(都会)と○○(田舎)で患者や家族の違いがあるとは思いますが、殆どの患者さ
んがPCIかCABGかを選ばれるのでしょうか?コツがあれば教えてください。

PCIのストラテジーでこの症例ではCTOはうまく行きそうだから(CTOにある程度自信
が無ければPCIを施行しないでしょうが)二回目に残しておくのも可能だろう、ま
た、一回目にLADをDCAするならCXを先に処理しておきたいということですか。

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○○です。

同様のことは僕のところでも同じです。最後には先生
に任せます、と言う場合は結構ありますね。結局僕の意見がそのまま採用される
場合も多いですし、それはそれで専門知識のない人が専門知識のある人に選択を
お願いするのは仕方ない、と思ってもっともいい選択を勧めています。
これははじめて行った高級レストランででよく分からないときにシェフにお任せ
を選ぶのと本質は同じのような気がします。いろいろ素材や料理法をずらずら言
われても素人には分からないので結局“今日のお勧めメニュー”にしてしまう、
またそれが一番いい、ということです。だから割り切って自信を持ったお奨めメ
ニューを言うようにしています。

> PCIのストラテジーでこの症例ではCTOはうまく行きそうだから(CTOにある程度自信
> が無ければPCIを施行しないでしょうが)二回目に残しておくのも可能だろう、ま
> た、一回目にLADをDCAするならCXを先に処理しておきたいということですか。
あの症例でmid LADが本物のCTOならLAD自体がdiffuse narrowですし、あの静止
画からは#8にもう1ヶ所99delayかもしかしたらtotalがあるように思えます。そ
のような時間・デバイスが必要となるCTOはゆっくり集中してちゃんと通して拡
張したいと思います。さらにCTOをしているときに例えばLAD ostiumやLCXで虚血
が起こったりすると非常に手技が困難になります。
ただし、この症例での問題点はLCXの拡張時にslow flowを起こすかどうか、です。
もしLCXでtroubleになればcriticalです(その意味でもCABG recommendですが)。
LCXのことを考慮すれば少しでも他のvesselがopenした状態でLCXを治療したい、
と考えてLADを先にする、という方法もありかと思いますが、その場合だったら
LAD ostiumはCuttingをしてそのままLAD CTOをして、stage2でLCXのdirect
stentをしてからLAD ostiumをDCAすると思います。でも、静止画・臨床症状から
は多分LCXはdistal emboliしないと考えています(LCXの形態は以前から変化して
いないんですよね、○○先生)。

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○○です。
○○先生ありがとうございました。

>これははじめて行った高級レストランででよく分からないときにシェフにお任せを
選ぶのと本質は同じのような気がします。いろいろ素材や料理法をずらずら言われて
も素人には分からないので結局“今日のお勧めメニュー”にしてしまう、またそれが
一番いい、ということです。だから割り切って自信を持ったお奨めメニューを言うよ
うにしています。

これは良いたとえですね。知識の無い人はおすすめメニューを選び知識のある人は選
択をする。なるほど。また、シェフである我々は最高のメニューを提供する努力を日
頃からしていなくてはならない、じゃないと信用をうしなうだけでなく多くのひとに
不利益を与えることになりますということですね。

>この症例での問題点はLCXの拡張時にslow flowを起こすかどうか、です。もしLCX
でtroubleになればcriticalです(その意味でもCABG recommendですが)。LCXのことを
考慮すれば少しでも他のvesselがopenした状態でLCXを治療したい、と考えてLADを先
にする、という方法もありかと思いますが、その場合だったらLAD ostiumはCutting
をしてそのままLAD CTOをして、stage2でLCXのdirectstentをしてからLAD ostiumを
DCAすると思います。

「はっきり見えているわけではないがチャンネルが開いてそう」と書きましたが、こ
のCTO(敢えて言うなら)病変のワイヤークロスはあまり問題視していません。た
だ、私だけシネをみているのでずるいのですがCTOを含めて直前直後の石灰化がつよ
くかなり高度の動脈硬化が認められます。ワイヤーよりもむしろバルーンを通過させ
るのに苦労しそうな感じがあり、ガイディングカテーテルをLADに押し込む必要があ
ると考えました(太いshort LMTなのでCXの血流にはあまり影響が無いと考えていま
す)。その状況ではバルーンやカッティングでは心もとないのでステント留置という
方法を選択しました。ただ、私のストラテジーは○○先生が指摘されたように
critical CXを治療する前にLADを処理することに基づいた方法でステントが
LAD-ostiumに入ります。最初に仮定した現在も将来にわたってもCABGをしないという
セッティングではLAD-ostiumにはDCA aloneを考えるべきですね。

>静止画・臨床症状からは多分LCXはdistal emboliしないと考えています(LCXの形態
は以前から変化していないんですよね、○○先生)。

CXの形態は以前とおなじです。ラプチャ−したあとみたいな病変です。そうすると
distal emboliの可能性は低いですね。いずれにせよ、多くの人がdirect-stentを選
択されると思うのですがサイズの選択になります。前後の径を考えるとやっぱり4.0
mmほしいですかね。私の場合は3.5プラスアルファみたいなストラテジーになって
いました。この症例の状況でLADを処理した後でも治療前にCXにIVUSをすることを私
は避けたいので最初のサイズはangioによる判断になります。CX正常部は4.0mm以上
ありそうで分岐した血管も大きいのですが、病変部MLDの近位部からマイルドな病変
が始まっています。私の場合に術前IVUSがなく病変すべてをフルカバーせずエッジが病
変にあるcaseでは、最初からは4.0mmを使わず3.5mm−IVUS−高圧orサイズupにし
ています。

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○○です。

静止画を見せていただいて感じたことは、思ったより左室機能が悪そうです。
LVEF32%だからそんなものかもしれませんが、RAO Seg1もsevere reduced以下のよう
にみえます。OMIの責任病変は実はLAD justだったのではないでしょうか。それもLAD
は心尖部を大きく越えたでかいやつだったようですね。また、○○先生の言われるよ
うに確かにLAD#8へのcollateralは短すぎる様です。

LAD justもLCXもPCIに際し10数秒で心停止状態に陥りそうです。しかもどちらも
古くて、硬くて、多量のアテローマを飛ばしそうです。どちらもslow flowになった
らrecovery出来なさそうです。

○○先生、こんな症例でもやはり、術前IVUSを施行されるのでしょうね。先生の
ことだから答えはおそらく「こんな症例だからこそしっかり評価しなくてはならない
。」と言われるでしょう。いかがですか。予想できる所見とstrategyのoptionを教え
てください。

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○○です。
○○先生のご疑問はもっともです。症例提示した責任上すこし補足します。ご参考に
してください。

Seg 1はasynchronyがありシネではearly diastoleに少し収縮します。私はLAD
ostiumの虚血によるasynchornyと考えています。

シネで長く撮影するとcollateral flowは言ったり来たりしながら静止画よりも近位
部まで追うことができます。また、antegrade flowも長く撮影すると静止画よりも末
梢まで追うことができます。2つがつながる訳ではないのですが、デジタルアンギオ
には分解能に限界があるのでチャンネルが開いていてもすべてdetectできないだけか
もしれません。

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○○です。
IVUSは当然、こんな症例だからこそ、します。LADは虚血になったとしてもすぐ
には落ち込まないと思います。LCXはIVUSでwedgeして血行動態が持たないのであ
れば病変近傍だけ見るか、それも無理ならmanual pullbackでさっと見ます。と
にかく何ミリのステントを入れれるかを見るのが一番ですから。

> LAD justもLCXもPCIに際し10数秒で心停止状態に陥りそうです。しかもどちら
> も古くて、硬くて、多量のアテローマを飛ばしそうです。どちらもslow flow
> になったらrecovery出来なさそうです
...
> 予想できる所見とstrategyのoptionを教えてください。
LAD ostiumはしばらくflowなくしても血行動態は保たれると思います。先にも書
きましたがLCXはdistal emboliはしないと思います。
IVUSの所見の予想としてはLADはrapid progressならsoft plaque主体でかなり血
管径は大きく4mm以上あるのではないかと考えます。もしかしたらACS plaqueが
見えるかもしれません。LCXのIVUS imageは、ここも血管径は大きく4mm程度、そ
こにeccentric plaque with ulcerationだと思います。
LADはもしかしたらemboli riskがあるかもしれませんが、多分diffuse plaqueな
のでriskはあまりないように思います。さらにLADは何か起こしても大丈夫だと
思います。LCXはcriticalですけど。

> いずれにせよ、多くの人がdirect-stentを選択されると思うのですがサイズの
> 選択になります。前後の径を考えるとやっぱり4.0mmほしいですかね。私の
> 場合は3.5プラスアルファみたいなストラテジーになっていました。この症例
> の状況でLADを処理した後でも治療前にCXにIVUSをすることを私は避けたいの
> で最初のサイズはangioによる判断になります
僕はIVUSを行ってまず4mmを選択すると思います。で、IVUSを使うことの
advantageは同じコストでよりよい結果をだす、ということだと僕は考えていま
すのでIVUSを使う限りはjust sizeのIVUSを最初から使う、当然safetyには注意
しなくてはなりませんが、ことを念頭においています。

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○○です。
○○先生のぼやきは、僕らみんなの悩みだと思います。自分なりに感じたことを書いて
みました。ちょっと話の筋が違うところもありますがご勘弁ください。

こういった場合、患者さんや家族がよく理解できないというのは、専門知識がな
いというのももちろんですが、私たちが具体的に説明していないからではないでしょ
うか。たとえばPTCAのriskについて、「この前の人は、カテ台の上で、うんうんうなっ
て、血圧は下がるし、不整脈はでるし、そのまま亡くなるかと思って冷や汗ものでし
たよ。うちは経験豊富ですので、何とかしのぎましたけどね。でも、それでなくなる
方が5年に1人くらいいらっしゃるのですよ。」とこうやると、聞いている人の頭が急
に働き始めます。(因みに、私は、そんなわかりやすすぎる説明はしたことがないで
す。)私たちは、本人の不安感をあおるような説明を、良しとしません。それが結果
的に本当は患者さんが一番聞きたいこと(一番やばいときの話)をオブラートに包ん
だようなわざとわかりにくい表現でお茶を濁しているような気がします。

一般に患者さんは、カテをうけること自体相当怖いもので、カテ台に上った時点
ですでに、自分の命を主治医に任せてしまっている気持ちの人が多いようです。怖い
から検査したくないなどとは主張せず、黙って受け入れた。すでにこの時点で、主治
医の言うとおり何でも有りの状態です。僕たちの感覚では、診断カテは、胃カメラよ
り楽だから簡単に勧めてしまっています。riskyな病変を前にして真顔になる私たち
とは、ちょっとしたずれがあるように思います。

患者さんが、本音を言わないときは、第一に目の前の主治医の本音をはかりかね
ているからではないでしょうか。どう答えれば、主治医が納得してくれるかと考えて
いる人も多い(特に田舎では)ようです。私たちが、本気で、「for the patient」
と考えていることを、患者さんに伝えるためには努力がいるようです。

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○○です。

普通に考えれば、私もCABGに送ると思います。LCx/RCAはもちろんですが、万一吻合
部狭窄があったときのPCIしやすさを考えると、LITA-LAD, RITA-D1の方がいいと思い
ます。あと、術中の経食でMRがそれなりにあるなら、off-pumpにこだわらず、MVPを
追加したほうがよいかと思います。

さて、いろんな事情で、PCIするとなるとですが、LAD7のCTO開けには、同時造影が必
須と思いますが、IABP入れていても、心臓が同時造影下の、それなりの時間のかかる
手技に耐えられるでしょうか?やってるうちに、ST下がって、胸痛でて、といった事
態が心配です。
でも、いきなりLCx攻めるのは、ちょっとリスク高すぎるかと思います。

自分としては、IABP入れておいて、TRI で、まずLAD6にCB→ステント、次にLCxにス
テント、これで第1回目のPCIはおしまい。
ここまでやっておけば、同時造影しようが、何しようが、大丈夫ですから、次に落ち
着いてLAD7のCTOあけ、としたいと考えます。

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○○です。
○○先生ありがとうございました。

>LAD7のCTO開けには、同時造影が必須と思いますが、IABP入れていても、心臓が同
時造影下の、それなりの時間のかかる手技に耐えられるでしょうか?やってるうち
に、ST下がって、胸痛でて、といった事態が心配です。

リファレンスのために数ショットですが同時造影が必要ですのでご指摘のリスクは考
える必要があると思います。私の場合、CTOのワイヤークロス、バルーン、ステント
では同時造影をすることは避けています。また、先にLADostiumを処理してIABPとカ
テコラミンでドライビングプレッシャーを保っていれば虚血のリスクは低いと考えて
います(絶対生じない保証はありませんが)。

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○○です。

○○先生の症例についてですが、先にもありましたが
確かに自院の心外に合わせて手術を待機するという
考え方は絶対にいけないと思います。

自分も以前勤務していた病院で心外の立ち上げの際
苦労したことがあります。心外は基本的には
不採算分野で、最初は特に、症例数のプールがないと
不安な気持ちになりますので、支える内科として
その先生の思いも分からないことはないですけど、
やっぱり患者さんに見透かされます。

あの時は心外の患者様が立て続けにお亡くなりになり
内科としてもかなり大変でした。そんな時外科の先生は
絶対に自分が悪いとは思いませんから、
その精神には感心すると伴にやりくりに困りました。
(片田舎でしたから他に送るべくもなく、堂々と3本静脈、なんて
こともありました)

PCIをする場合の戦略は、私も他の先生のお考え
と同じですが、○○先生、○○先生がどうお考えか
興味があります。

また、○○先生のところでのバルーン保存(再生)について
非常に興味があります。具体的な方法を教えていただければ
お願いします。先生はあらゆる分野でユニークな発想をしておられますが
いつ考えるんですか?とても感心していつもメールを読んでいます。

今春4月から○○県の病院で勤務することになります。
今は家探しをしています。

****************************************
○○です。

○○先生、お返事ありがとうございました。
私が、CTOは別にやりたい、と申し上げたのには、もう一つ理由があります。
同時造影下のCTOあけに成功するには、血行動態的に、また、術者の精神的に、
やはり、ゆっくり、まったりとしたワイヤ操作ができる環境が大切ではないでしょう
か。
IABP入っていて、LCxが残っている状況というのは、
チョット、ワイヤ操作を荒くしてしまうような、状況に思えました。

ところで、皆さん、加藤先生が提唱されているパラレルワイヤいかがですか?
ワタシ的には、同時造影、side branch technique以来の、驚異の新手だと思いま
す。
特に、LCxやRCAのCTOには、絶大な威力を発揮するような印象があります。
つい、最近も、Miracle 6ないし12とのパラレルで、今までの自分なら通せなかった
であろうCTOに、
2例連続して、コンケストを通すことができました。

ミラクル3ではじめて、時間をきめてそれなりに粘った後は、すぐ6か12にアップ
し、偽腔でもいいから少しワイヤをすすめ、
その位置を参考にして、コンケストをパラレルにして真腔を狙う、というのが今のや
りかたなのでしょうか?

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○○です。

僕も同感です。この話題の中でも書きましたが本物のCTOは別にやるべきだと思っ
ています。何例か造影してついwireを進めた例がありますがほとんど全てうまく
いってません。僕はこのような手技を“思いつきCTO”と呼んで厳に慎むように
しています。それでもつい通るかな?って思ってやりたくなる事があります。そ
の時も少しして止めれたらいいんですが、どうしても一度はじめると止め時が...
これは僕自身の要素も多いかもしれませんが。

> ところで、皆さん、加藤先生が提唱されているパラレルワイヤいかがですか?
> ワタシ的には、同時造影、side branch technique以来の、驚異の新手だと思
> います。

僕も非常にいいと思います。成功率も上がりましたし、手技時間も短くなったと
思います。これもConquestのお陰かもしれません。

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○○です。

>僕も非常にいいと思います。成功率も上がりましたし、手技時間も短くなったと
思います。これもConquestのお陰かもしれません。

あたりまえのようなコメントで申し訳ありませんが、一言。
Conquestというワイヤも、トルクコントロールと穿通力を両立させた名品だと思いま
すが、
それ以上に、この諸刃の剣のようなワイヤの長所をいかんなく発揮させる、
パラレルワイヤという手法、いわばソフトウエアに、いたく感動した次第です。
今のCTOあけで一番大切なのは、血管がどのように走っているか、trueはどこにある
かについての、
アンジオの読みとイマジネーションですね。
これまでは、単にアンギオ所見だけが頼りでしたが、これからは、偽腔に入ってし
まった
1本目のワイヤが参考になりますから、情報量がはるかにアップしています。

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○○です。
○○先生ご意見ありがとうございました。


たしかに術者にとって良い環境とはいえず、先生のご指摘ももっともなことだと思い
ます。本症例についていえばCXは失敗するとクリティカルで皆さんのご指摘のごとく
心機能や患者の背景因子からもCABG>PCIだと思います。診断カテーテルの終了時に
LAD−CTOが複雑に見えるので、習性的に最も複雑な病変のPCIを考えます。angioを良
く見た上で「LAD-CTOはインターメディエートワイヤーで意外と簡単に通過できそう
だがバルーンカテーテルを進めるのが厄介そう、でも十分なバックアップがあればい
けるかな…」PCIするならと仮定しているわけですが、#6のついでにCTOをするので
はなくCXのPCIでトラブルを起こしたとしても最悪の事態を避けるために、可能なら
先にCTOを開いておくことをめざすわけです。勿論、LMTがもっと細いあるいは長い場
合やCTOがもっとややこしいと読んだ症例では○○先生や○○先生のおっしゃるとお
りだと思いますし、本症例もいつでも方針を変更できる柔軟さが必要だと思います。
もちろん多くの術者の先生が#6つぎにCTOorCXと一度は考えられているでしょうから
方針変更の下地は十分できているとおもいます。

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○○です。

先日提示させていただいた症例は転院CABGの治療方針になりました。
皆さんいろいろなご意見ありがとうございました。
○○先生、このようなNETに参加させていただきありがとうございます。

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○○です。

ところで、今日の話題は、5FrTRI における、ダミーワイヤ・テクニック。
2日続けて使用しました。

月曜の33歳(!)、inf AMI。腕頭動脈が、この若さで屈曲しており、JR4 (JJ)は、
どんなことしてもconusにしか入りません。
引けば、ばーんとはねてしまいます。conusにBMWをダミーワイヤとして入れ、押し付
けてカテを浮かし、
RCA本幹を2本目のBMWで選択、PCIしました。なお、S670 4.0-30は、JR4を問題なく通
過しました。

火曜の81歳 u-APのおばあさん。LCx13 90%。EBU3.5 (Medtronic) はLADしか向いてく
れず、septalに BMWをダミーワイヤとして入れて、押し付けてカテを浮かした後、
ATWで、おもむろにLCxを選択しました。

吉町先生のホームページ(http://www.cardiologist.jp/ptca5fr/)に詳述されてお
りますが、このテクニックは、6Fr TRI 以上に、カテが自然におくにドンドン入って
しまい、トルクコントロールが困難で、操作も難しい5Fr TRI では、小技というよ
り、基本手技の一つであるような気がしました。

○○先生、5Fr TRI のダミーワイヤなんて、きっと査定されてしまうんでしょうね。
TRI の上に、カテが細いから、余分なワイヤがいるんだって!

****************************************

○○です;

最近、症例検討のテンポが速くてなかなか読み切れないうちに次の症例検討がはじまっ
てしまい追いつけないでおりました。しかし、先生方の熱心さには頭が下がります。
関門海峡を渡っただけでIVUSその他のデバイスの問題がこれほど異なるとは驚きます。
各県でレセプトにおけるバルーンの本数や各デバイス使用の認識のされ方がこれほど
異なるのは大きな問題だと思いませんか? やはり「学会」主導でこの問題は解決さ
れるべきとは思いませんか? と、考えましたが「学会」は分裂してしまいました。
今後、診療報酬体系が変化していきますが「学会」の主張はどの程度取り入れられる
のでしょうかと考えてしまう今日この頃です。
以前、スパスムの誘発(Ach)時に使うペーシングリードを再生使用してなおかつ請求
していたという記事が新聞に出たことがあります。PCIにおいてもガイドカテ、ワイ
ヤー、(バルーン)は再生可能なわけですが、みなさんはどの程度再生使用している
でしょうか? 当院ではガイドワイヤーだけは再生しています。
再生使用には常に感染....という問題がつきまとうのですがいかがなものでしょうか。

PS ダミーワイヤ(ダブルワイヤ)はガイドをstabilizeするのには本当にいいです
ね。よく使用しています。

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○○です。

大変ですね、○○県でよかったです。あと、最近Kissingをする機会が増えており
ホームページの内容は大変参考になりました。ホーネットのサンプル2本があったの
でズーマ2で試してみましたがうまく行きました。マック1は今度サンプルで持って
きてもらえるみたいなのですが、JL、JR、ALのラインナップしかないとおっしゃって
いました。物品の再生は以前に事務に相談したときには公立病院なのでやめてくれと
拒否されました。○○先生のダミーワイヤーは非常に参考になりました。機会があれ
ば試してみたいです。

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○○です。
 かけ出しの身で、すっかりROMしておりました。TRA netの諸先生がたのご意見をあ
りがたく勉強させていただいております。
 ○○先生のメイルを今日のPCI中に上司にこそっとチクッテしまいました。やっぱ
り、「アホくさ」ですよねって。
 今日の私の症例はRCA seg1 S670 3.0のlong stent内狭窄例でしてTRIで右肩あがり
ということもあって、IVUS後の3.5mm Cutting Balloonが通らず、2.5mm Intruder?
でpre dilatationしてpassしました。 
 北陸では、諸先輩がたのおか
げで理不尽な攻撃から比較的protectされているために、TRA netの先生がたのご苦労
など知らずにノウノウとしてました。以外に田舎も恵まれているようです。今日の私
の症例なんか、九州では「原っぱに引きずり出され…銃殺」だったのかもしれません。
6Fでバックアップが乏しいっていうのは…殿ご乱心?
Scientificに根拠を示して頂きたいですね!

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○○です。

ちょっと、一週間ほど病院をあけていましたら、もの凄い数と内容の濃いメールの山
が有り、驚きました。やっと、読み終えました。

○○先生に質問ですが、「ダミーワイヤーテクニック」というのは正式名称なのでしょ
うか?よく解らないので教えてください。
(かっこいい呼び名なので今度から使わせていただきたいと思います)
5FrGCをよく使うようになって、このテクニックを頻用しています。
○○では査定されないのでしょうが、何となく患者さんに申し訳ないような気がして
ワイヤーは再生品が多いです。
○○病院修業時代には「もったいないオバケ」がよく出たので、それが染みつい
ているのでしょうか...。

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経験不足のため、教えていただきたいのですが
1.最近のcutting balloonが適していると考えられる病変。
2.IVUSを使用するうえでの目安。(適応)
について、各先生方の考えを教えて下さい。

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○○です。

○○先生のメールにもありましたが、ダミーワイヤーテクニックの名称についてです
が、これは、京都桂病院 加藤先生のparallel wire techniqueと同義語ととらえて
よいのでしょうか。

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○○です。

ダミーワイヤーという言葉は、齋藤滋先生の新しいTRI2002xpのp.99に、「ダミーワ
イヤーと称する」と記載されています。
(学術として論文や発表にダミーワイヤーという言葉で発表しても問題ないと捕らえ
て良いのでしょうか?)

CTOを通す際の「パラレルワイヤー」という言葉も、昨年のCTO clubで加藤修先生が
「みんな、いろいろな呼び方で読んでいるけど、パラレルワイヤーと呼びませんか?
少なくてもこの二日間はこの呼び方で統一したいのですが..」と言っていました。
(これも、学術として論文や発表にパラレルワイヤーという言葉で発表しても問題な
いと捕らえて良いのでしょうか?)

5Fr GC使用時のダミーワイヤーと、CTOのパラレルワイヤーでは、同じ二本のワイヤー
を使うのでも使用目的が違うと思います。

昔から、Intervention業界のいろいろな言葉には、正式名称なのか(学術として使用
できる言葉なのか)、習慣として定着している言葉なのか、オーソリティーがお話し
するので皆さん使っている言葉なのかなど、悩むことが多いです。
勉強不足ですみません。

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○○です。

正式名称なのかどうかは、わかりません。学術論文でよんだことはありませんね。
このネットの中での定義としては、ガイドカテを安定した状態で浮かすため、あるい
は、固定を良好にするため、本来病変がない血管にあえてワイヤを挿入すること、
で、よろしいでしょうか?
一般的に、こうした、新しい概念は、英文の学術論文として、報告がされたときを
もって正式名称になります。
○○先生、がんばって、CCIにでも投稿されてはどうでしょう?

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○○です。

○○先生の質問に対するコメントです。

1.最近のcutting balloonが適していると考えられる病変。
2.IVUSを使用するうえでの目安。(適応)
について、各先生方の考えを教えて下さい。

1.について、発表されたREDUCE I や II の結果を見る限り初回病変やステント再
狭窄病変に使用する場合はノーマルバルーンと差はなさそうです(ただしカッティン
グバルーンと対比されたノーマルバルーンの成績が非常によい)。ステントの前拡張
にカッティングバルーン使用するREDUCE III も終了しておりデーターが公表される
と思いますが最近のトレンドは小血管(<2.5mm)に対するカッティングバルーンの
ようです。ちなみに私は虚血がmedical control できない小血管にしか使用していま
せん。また特殊な使用法として冠乖離のre-entry形成に使用する離れ業もあるようで
す。

2.について、私の場合は小血管なので選択サイズはmedia-media(mm)、拡張圧
は4atmからはじめて8atmで終了としています。

提唱されたメカニズムはユニークですが、いろいろなステージの混在するhumanの冠
動脈硬化病変ではカッティングの良さがキャンセルされてしまうのかもしれません。

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○○です

> 1.最近のcutting balloonが適していると考えられる病変。
> また特殊な使用法として冠乖離のre-entry形成に使用する離れ業もあるようで
> す。

これに関連して一言だけ。ステント留置後にステントエッジにいわゆる「血管内血腫」
というのでしょうか...解離の中に血腫?血液がたまってバルーンをかけるとどんど
ん解離(血腫)が広が?いく状態があります。このような状態ではcuttingが有効
な場合があります。通常の解離のre-entry作成にも有効です。昔は大きいサイズのバ
ルーンで一瞬高圧をかけると言われていましたが、最近ではcuttingが良いと思って
います。ちなみにこれでruptureしたことはありません。

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