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TRAネット開設おめでとうございます。
いやぁ初回登録メンバーに入れてもらえてうれしいっす。
先日は飲み会、いやTRI研究会盛り上がりましたね。特に一次会の途中AMIで病院に呼ばれた○○先生が、「TRIやって来ました」と二次会に颯爽と戻ってきたところはまさにTRIならではの芸当で、これだからTRIやめられないわけです。やっぱいろいろ言われてもQUICK, SAFE, & COMFORTABLEな所がTRIの醍醐味だと思います。
しかしなかなか○○ではTRA仲間は増えません。一部、○○のinterventionで指導的立場にある先生が割とTRAに批判的なのが、○○がTRA後進県になってしまったひとつの理由だと思います。ただ、今○○は心外を中心として既存のヒエラルキーが崩壊しつつあり、ちょっと面白い状態になりそうで、今後の展開に乞うご期待といったところです。
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今日のAMIは蓋をあけるとLCX totalが責任血管でRCAのCTOがあり
collate.を出しているLADに90%がありました。
shockではありませんでしたが<もしfemoralからしてれば
終わりにIABP入れちゃってるな〜>と思いながら点滴
一本の患者さんを見ていました。

TRIはピャッと決まれば本当に楽ですね。
因にこのAMIと前後してSAH,AAAのruptureが立て続きに来て
このAMI患者はナースにとってただの寝てるジーちゃん
になっていました。

ところで胸骨正中切開でのoff pumpのbypassを
OPCAB<オプキャブ>って言うんですって!知ってました?
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6Fインターベンションにおいて、stentが通過せず、ガイドカテに回収を試みたと
します。しかし、stentのエッジが引っ掛かって回収不能になった場合を想定して、”
バルーンの追い越し”が出来るかどうかの体外実験をしました。

ガイドカテはズーマ2、stentはS670、バルーンはジェミニ2.5-15mmでした。
まず、ガイドカテ(070インチ)にS670を通過させ、先端は外に出して、シャフト
(029インチ)だけをガイドカテに残しました。次に、BMWをガイドカテに入れ、
先端を十分に出します。さらに、BMWにジェミニ(シャフト026インチ)を通しガ
イドカテにいれると、結構スンナリと通過しました。ガイドカテの先端のカーブのと
ころは少々きつかったですが通過しました。
この場合のジェミニはPTCAで使用した後、手でリラッピングしたものです。

これなら、stent回収が難しい時は、
1,stentを冠動脈内に残したまま、さらに2本目のワイヤーを通過させて、パラレ
ルワイヤーテクニックでstentの挿入を図る。
2,それでも不通過の場合は、2本目のワイヤーにプロファイルの小さいバルーンを
通し、冠動脈内のstentを追い越して、前拡張を行い、その後stentを通過させる。

ことが可能かもしれません。

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心カテコストについてお尋ねします。当院のような、新規参入の病院に
とっては、年間心カテ300例を維持するのがやっとだと思われます。病院としては、2
億円近い投資をしているわけですから、当然のことながら、収益が上がることを望ん
でいます。現在、femoral approachを主としていますので、右心カテーテルを同時に
行うことで、その期待には応えられていると思います。TRAを導入することにより、
右心カテーテル数が減少することが予想されますが、先生の施設での右心カテーテル
施行率は、どのぐらいなのでしょうか?また、収益の少ない(失礼な表現ですみませ
ん)TRAでは、どの程度、施行数を増やすことが要求されるのでしょうか?施行数を
増やすために、行う努力として、何か特別なことをされておられましたら、御教示く
ださい。

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○○先生の質問の答えになるかどうか解りませんが、私は利益率をあげる事をまず考
えました。
そこで、心臓カテーテル検査,PTCAで保険請求ができないものがどの程度費用が
かかっているのかをまず調べる事より始めました。
心臓カテーテル検査では、28347円でした。PTCAでは94331円でした。ということは実
際の利益は非常に小さいということなので、これをなんとか減らせないだろうかと考
えました。
細かい様ですが、ディスポの注射器は10mlは9円ですが20mlは約1円ですので20mlの
注射器でいいものは20mlに変えるとか....ガーゼ一枚6円なのでタオルの再生でいい
ところはそれに変えるとか........インディフレーターを最も安いものに変えるとか
(当院のインディフレーターは5000円のものです。)3連キットより2連に変えるとか..
..術衣、オイフ、注射針全てを見直しました。
その結果、現在は心臓カテーテル検査11800円、PTCAで51603円となりました。

また症例を増やすための努力は大変でした。循環器が全くなかった病院からのスター
トでしたので赴任当初は外来患者数さえ0人...........
まず開業医、周りの病院に対して心エコー、TMT、シンチのみでも気楽に頼めるよう
なシステムにし、そこから1割でも症例が拾えるようにと考えました。
また地域住民には土曜日入院のTRA,TRIをアナウンスしました。(土曜日入院当日カ
テ、PTCA日曜日退院)
カテ室はフルオープンとし家族の方でもカテ室内で見学ができるとか...
全く紹介してもらえない開業医をターゲット救急で拾った患者の外来Followをお願い
するとか、周りの先生を食事に誘い仲良くなり、自分という人間を分かってもらえる
ようにするとか、.......

その結果循環器1年5ヶ月で心臓カテーテル検査350例、PTCA125例施行できました。

以上ですが、少しは参考になったでしょうか?

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○○先生の疑問は当然で、当院でも右心カテのあつかいについて紆余曲折がありまし
た。
○年前私が赴任してきたときに当院では、診断カテはTBAからでしたが、やはり売
上げのことがあり当院チーフは、初回CAG患者に限り、内頚から右心カ
テをしていました。 reーstudyなどでは全くしませんでした。
○年前、TRAを始めてからもしばらくは同じ方針で右心カテを施行していて、1ヵ
月に15例ぐらいはありました。
しかし、TRAをどんどん進めてゆき、他院にアドバイスするようになり、地域の講
演会や学会でも、自分たちが推し進めるTRAは、”患者のことを中心に考えると必
然的にTRAは必要だし、医者や周りのスタッフにも有益だ”と主張するようになり
ました。そのあたりから、自己矛盾に悩み始め、”患者のことを中心に”というのと
、”病院の利益”の間で苦悩しなければならなくなりました。
結局、”患者中心の医療をすることが、長い目でみれば有益で正しいことだ”との結
論づけ、最近では右心カテは激減し、AMIでTFAでする症例(50%ぐらい)と、
弁膜症の手術前CAGの時ぐらいしかしなくなりました。今は1ヵ月に3例ぐらいで
しょうか。
右心カテをしなくなると、カテ室にリズムがでてきます。

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TRAを始めてからは、他院との差別化を図り、外来で宣伝することです。
患者の口コミが一番影響力があります。
それと、入院期間の短縮を意地になって推し進めてゆけば、今までの方法と違った方
法だという実感が湧くようです。
患者には、1,手首からしてもらって、術後がこんなに楽になった。
2,こんなに早く退院できるのか。
この2つを実感してもらえば、こちらの勝ちです。

当院では、TRAの特徴をいかして、CAGで有意狭窄がある初回PTCAの患者は、
ムンテラ後速やかに(翌日か2日後)PTCAを同側TRAにて施行します。そうす
れば入院期間は確実に1W以内です。ただし、reーstudyで再狭窄ありの場合はその場
で再PTCAをすることにしています。

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当院のシステムは、診断カテは、brachialよりの5Fr.光藤カテと内頚静脈から
の6Fr.SGにて行っています。止血には、とめた君を使っています。TRIは、昨年の12
月より始めました。通常6Fr.です。○○先生のご質問ですが、2mmまでのRotaは7Fr.
Radialを使用しています。IVUSは、endosonics社製のものを使用しており、これ
は6Fr.OKです。(テルモのIVUSがそろそろでてきますがこれは診断カテが使えるらし
い。)また、今のところEmergencyはfemoralと決めています。他にDCA、2.15mm以上
のBarrのrotablator、kissingballoon tech.とradial困難と予想した症例がfemoral
となります。今年の1月より4月末まででTRI 56枝(46例)、緊急71枝、待機的
なfemoralよりのIntervention総数は41枝でした。このうち、7Fr. TRIは、9枝でした。
TRIに関しては、施設としては始めたばかりですので、変わっていくこともあると思
います。

○○先生のおたずねですが、右心カテについては、○○先生
の意見に全く同感です。しかし、現実的には、初回カテと、心不全には右心カテをし
ています。当院の昨年の症例では、診断カテ数が955例、うち右心カテが515例でした。
そのうち激減することになるでしょうが、内頚静脈からの右心カテもなれればそう煩
雑でもありません。ぜひためされてみてはいかがでしょう?

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皆様、貴重なご意見をありがとうございました。
当院の心カテ施設は、○○月より稼動を始め、現在まで、240例、intervention 80例を施行してきました。それまで、血管造影施設もなかった病院ですので、技師やナースの教育からはじめ、病棟管理、症例発掘に心血を注いできたつもりだったのですが、○○先生のメールを拝見し、まだまだ甘かったことを痛感しました。
当院でも、TBAでは、内頚静脈より右心カテを行っているのですが、TRAを始めれば、数が減るのは仕方のないこととあきらめます。当座、前年度収益を下回らぬよう、できるだけ、内頚静脈より右心カテを行いながら、広報活動を行い、症例数を増やしたいと思います。
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当院の紹介をさせていただきます。
○○市の中心(といっても田舎ですが)にある病院です。
年間の心カテ症例は1300例ほどでcoronary interventionは300例程度です。
rotablatorや不整脈のablationも行っています。CABGは年間80例くらいです。

当科は若手について言えば、研修病院なので、心臓カテーテル検査
も最初は右心カテ、左心カテ含めて鼠径部よりアプローチさせていますが、最近は特
に診断カテについてはradial approachがおそらく半数以上で行っていると思います。
coronary interventionについては特別な事情(TFIができない、患者の希望、radial
からの診断カテのときに思いがけずsevere lesionが見つかりその場でintervention
をする必要に迫られたときなど)がなければ鼠径部から行っています。その理由の1
つとしてはcoronary interventionの約半数はAMI、ACSなどの緊急カテで事前に計画
を立てられない症例が多いことや、夜間の緊急 interventionが多く経験の浅
いoperatorが行うこともあるからです。
右心カテの件ですけど、virgin caseでは一応ルーチンで行っています。その場合TRA
で行う場合でも、多くの症例は静脈は鼠径部からapproachしています。静脈の場合2、
3時間の安静で離床できるのでそれほど問題はないと思っています。ただ最近で
はcoronary interventionのfollow-up目的のみの場合は右心カテを省略しています。
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先週は岡山で放射線科のアンギオの学会があり、興味本位で出席しました。
学会では、新しい器具を開発している業者4社を壇上にあげてそれぞれ説明させ、そ
れに対する討論や、各社に”もっとこの学会に協賛金を出せ”と凄む学会長がいるな
ど、循環器の学会とはまた違った面白さがありました。

会場で、放射線科領域でTRAを始められた(肝臓の治療)○○医大の○○先生とお
話する機会がありました。
その時、”肝臓の治療は左TRAが有利だ”と言われたので、私は経験から、”右T
RAの方が、下行大動脈に落としやすいのではないか”と質問したところ、答えは”
下行大動脈に落としやすいかどうか”が問題ではなく、意外なところをつかれました。

さて、ここでQuestionです。
”左TRAでなければならない”とまで断言された○○先生が言われた、その理由と
は何でしょう。ちょっと考えてみて下さい。

答えは、次号で。

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前回の解答編です。
○○先生がおっしゃるには、
1,大動脈から脳への分岐は、上行、腕頭(右内頚、右椎骨)、左内頚、左鎖骨下
(左椎骨)、下行の順になっている。
2,右TRAにて下行までカテを落とせば、左右の内頚、左右の椎骨の4本にアテロー
ムや血栓を飛ばす可能性がある。
3,それに対して、左TRAから下行にカテを落とせば、アテロームや血栓を飛ばす
危険性は左椎骨動脈1本のみである。
4,だから、肝臓治療には左TRAが絶対的に有利だ。

という答えでした。
私は、”う〜〜〜〜ん、放射線科の先生達は、そこまで脳に飛ばす合併症を日ごろか
ら気にされているのか。”と一瞬感心したのですが、次の瞬間、”それじゃ、右TR
Aを行い、腕頭、上行大動脈、左室まで毎日のようにカテを入れてゴシゴシしている
俺たち循環器科ドクターは、一体何なんだ?”とも思いました。
そこまで、気にしていたら循環器なんてできませんよね。

ちょっと考えさせられるエピソードでした。

循環器にあてはめてみれば、左右TRA、TBA、TFAすべてて4本に飛ばす可能
性があり、どこからのアプローチでも一緒でしょう。
ただし、脳以外では腎臓へのシャワーエンボリが当院でもTFAで起こった経験があ
り、その意味ではTBAかTRAが有利かもしれません。

当院の経験では、(約3000例)2例ほどカテ中にマヒが出現しましたが、数日後
には軽快しています。みなさんの経験では脳に飛ばす確率はどうですか?

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